1歳3カ月差の年子を育てるアラフォーママ(新聞記者に復帰中)です。育休中、当時1歳半の長男(シンシン)と3カ月の次男(ルールー)を連れて敢行した親子留学の体験をあるがままに綴っています。昨年9月から続けてきましたが、フィリピン・セブ島での体験記は残り数回に迫ってきました。今回は、ママメートを誘って週末に楽しんだ「アイランドホッピング」(島巡り)についてです。

公式データによると、フィリピンには大小7107の島がある。セブ島周辺にも、無人島を含めたくさんの離島がある。親子留学での一番の思い出といえば、こうした島々をめぐる「アイランドホッピング」だ。港からボートをレンタルし、ボートマンと呼ばれる船員に操縦してもらって離島に行き、バーベキューをしたり、シュノーケリングをしたり。20分〜1時間あれば着くところがたくさんあるので、日帰りで2〜3つの離島を巡る手法が多い。「アイランドホッピング」という名で呼ばれているのはそのためだ。

セブ島に来た当時、私は水着を持ってきていなかった。まさか、授乳中のルール−と、まともな距離を歩くこともできない1歳数カ月のシンシンを連れて水着を着て遊びに行く……なんて夢にも思わなかったからだ。

アイランドホッピングで有名なセブ近海のナルスアン島=今村優莉撮影

ところが、人間というのは欲深いものだ。

親子留学の生活に慣れてくると、やはりこの島で一番有名なアクティビティーに行きたいと思ってしまった。ママメートと一緒に子連れで水着も買ったし(第14回「親子留学先のセブ、子連れ外出はどこでも熱烈歓迎」参照)。それ着て海行きたい!

でも、赤ちゃん連れでどうやって?一番大きな問題は、そこだった。

マクタン島のボート乗り場。ハンガーボートと呼ばれるアイランドホッピング用の船が集まっている=今村優莉撮影

通常、アイランドホッピングは留学先の学校や現地のホテルなどを通じて申し込む。手数料を入れると1人1万円くらいだ。離島でのBBQやシュノーケリングといった内容が含まれているが、ある程度自分で歩けたり泳げたりできる子どもならともかく、赤ちゃんを連れて行けるかどうかまでは想定されてはいないため、安全面も含めて不安要素がたくさんあった。

凄腕の先輩ママがいた。「英語アレルギーを直したい」と、有給と連休を組み合わせて2週間の休みを取り、2歳の長女と親子留学に臨んだアキエさん(第9回「転職してすぐ産休「わたし迷惑かな」コンプレックス抱えたクラスメートたち」参照)だ。彼女は帰国する前「子連れでアイランドホッピングを強行したよ!」と教えてくれた。なんの予約もせず、直接港に行ってボートマンに子連れでも良いか聞いたところ、奥さんが一緒に船に乗り込んでくれ、食事の手配や娘の面倒などを手伝ってくれたという。

アキエさんからもらった1枚の名刺を頼りに、私はママメート何人かを誘ってアイランドホッピングに臨んだのだった。

アイランドホッピング行きのボートが集結する、マクタン島の「ボート場」=今村優莉撮影

セブ島から一番近いアイランドホッピングの「出発地」は、市中心部から車で約30分、陸続きの隣のマクタン島にある。マクタン島は、マクタン・セブ国際空港がある、いわばセブの空の玄関口だ。私たちが乗るのは飛行機ではなくボートなので、いわゆる「ボート場」と呼ばれる港に連れて行ってもらった。港といっても、路面の舗装も十分ではない、乗り場の案内表もないような場所だった。

係留しているボートは遠くにたくさん見えるが、そこまでの「足」がない。桟橋はあるが、そこにたどり着くまでの道がないのだ。

ボートマン(船長)と落ち合うまで、ボート場で待つ私たち=2018年12月、マクタン島で、今村優莉撮影

私とママメートは、赤ちゃんを抱いたまま不安な気持ちになってきた。アキエさんに紹介してもらったボートマンと落ち合うことが出来たが「潮が引いていてボートを桟橋までつけられない。歩いてきて」と笑顔で言う。

あ、歩く?

潮が引いて桟橋にボートを着けられないため、歩いてボートまで行く私たち=今村優莉撮影撮影

抱っこひもの高さによっては、子どもの足がつかるくらいの高さがある海水を、ボートまで歩くということだった。しょっぱなからなんてスリリングな。でも、私もママメートも「きゃ〜〜」と言いながら意外と楽しかった。

別の日に行ったアイランドホッピング。この日はさすがに深すぎて、小さな手こぎのボート(写真中央部)で運んでもらった。右が筆者=ママメート撮影

ボートに乗り込み、いよいよ出発。ママとパパ合わせて6人、子どもが8人。一番小さいのは我が家のルールー(5カ月)で、大きい子でも3歳。ボートマン(船長)はエリーさんという男性だった。エリーさんに事前に電話で大人と子どもの人数を伝えていたので、彼はこの日、奥さんとまだ11歳の娘さん、親戚の女性たち計6人を連れてきた。エリーさんの他にも操縦士ら2人の男性がいた。

船内の様子。ドアつきトイレ(穴が空いているだけだが)もあり、風通しもよく、波がなければ揺れることもなく快適だった=エリーさん撮影

アイランドホッピングに使うのは「ハンガーボート」と呼ばれる、ボートの両脇に浮木がついているものだ。これがあることによって、大きな揺れを吸収するらしい。大きさはさまざまで、数人乗りから大きいものだと20人くらいは余裕で乗れるものまであるそうだ。この日私たちがお願いしたのは比較的大きなタイプ。最終目的地の離島までの距離にもよるが、貸し切りの料金はだいたい3500ペソ〜6000ペソ(約7000〜12000円)という。

ボートマンの奥さん(左)と、親戚の女性(右)に抱っこしてもらうシンシンとルール−=今村優莉撮影

マクタン島を出発しておよそ40分。私たちは、ナルスアン島という島に着いた。小さな島で、島につながる長い橋と、透明度の高い海が美しいと評判の無人島だ。この島は持ち込みの食事が禁止されているため、私たちは、桟橋の近くにボートを止め、シュノーケルをすることになった。

アイランドホッピングに向かうボート内の様子。ボートマンのと娘(右)も同乗し、シンシン・ルールー(中央の2人)らの遊び相手になってくれた=今村優莉撮影

さて、このナルスアン島。まずは島に続く長い橋に足を踏み入れるまでが大変だった。ボートを一番近くまで寄せたとしても、橋の入り口までまだ数メートルの距離がある。ボートと、橋の入り口となっている小屋の間を板で結び、歩いて渡って行く。板は幅約30センチあるかないかで、大人が1人で渡るにしても集中しないと落ちてしまいそうだ。赤ちゃんを抱くと足元が見られない。我々がボートを降りるのをちゅうちょしていると、エリーさんは笑顔で「僕たちがベイビーを運ぶから大丈夫さ!」と言う。男性船員や家族の女性たちはヒョイっと子どもを抱え、慣れた足取りでトントントンと渡ってしまった。ヒョイっと抱えられた子どもたちは、泣く暇もなく「あっち側」へたどり着いてしまった。

ボートからナルスアン島に続く橋へ。幅30センチあるかどうかの板をつたっていく=今村優莉撮影

こういう場合、きっと日本では「小さなお子様連れのお客様はご遠慮下さい」と言われるだろうし、私たちも納得してしまうのだが、「子連れである」ことがなんの弊害にもならない、という体験をまた一つ味わった。

子どもたちも一緒に海へ。上から魚がたくさん見えるほど、水は透き通っていた=セブ近海のナルスアン島で、ママメート撮影

エリーさんは「泳げない赤ちゃんは預かるから、泳げるひとは泳いでおいで!」と言って、レンタル用のシュノーケルを渡してくれた。ボートに揺られている間に、ルールーはエリーさんの親戚のおばちゃんの腕の中で熟睡。彼を残し、シンシンと浮輪を持って、私は橋から海に続く階段をおりた。橋の周辺は浅く、上からでも魚がはっきり見える透明な海。私もママメートも子どもたちも大興奮しながら、1時間ほどシュノーケリングを楽しんだ。

(手前左から)ボートマンの奥さん、シンシン、筆者とルール−=2018年12月、セブ市近海のナルスアン島で、ママ友撮影

次の目的地はソルパ島というところだった。ここではBBQが出来る。あらかじめエリーさんらが買い出しに行ってくれていた食材を、島の設備をつかって調理してくれるという。その間、私たちは子どものオムツ替えをしたり、授乳したり、砂浜でのんびり過ごしたり。「できたよ〜」という声でもどると、おいしそうな焼き魚や焼き鳥、マンゴーなどが並んでいた。

食事の準備もすべてエリーさん(写真)とご家族がやってくれた=今村優莉撮影

島には地元でとれたウニや魚、ココナッツを売る行商人もいた。私たちが日本人と知り、少し高めの値段で言ってきたものの、エリーさんが交渉してくれたこともあり、手頃な価格で売ってくれた。すべて彼らがその日の朝採ったばかりのもので、特にウニは、目の前で殻を割って、味見までさせてくれた。日本でもおいしいと思ったウニはあったが、割られた殻からキラキラと輝いて現れたあのウニの味は今も忘れられない。

アイランドホッピングで訪れた離島で食べたウニの味が今も忘れられない=今村優莉撮影

BBQが許されている離島には、食事ができる小屋もいくつもあり、数百円の使用料を払って使うことができる=エリーさん撮影

BBQが終わった頃には、潮が満ちてきた。係留しているボートまで、胸の高さまである海水の中を歩かねばならない。我が家のルールーなど、浮輪すら通り抜けてしまうほどの赤ちゃんは、海の中を歩き慣れた船員の家族らに抱えてもらうなどして運んでもらい、大人もほとんど泳ぐように後に続いた。ここまで来ると、私たちも、そうした「ハプニング」を楽しむ余裕もあった。

潮が満ちてきて、水位は胸のあたりまで。眠るルール−(左から2番目)を抱えてボート(後方)に戻るエリーさんの親族=今村優莉撮影

必要な食材や、シュノーケリングのレンタル代、離島の入島料などを入れて、貸し切りのボートも合わせてトータルで1人3000円くらいだった。エリーさんの親族は、普段は貝殻などを使った作ったアクセサリーを売る行商をしている。「チップのかわりだと思ってアクセサリーを買ってね」と言われた。もちろん、私たちは喜んで買わせてもらった。

赤ちゃん連れでのアイランドホッピングは、セブ島で親子留学した時期において、英語を学んだ以外で一番貴重で、楽しい思い出だった。4カ月半の滞在で、私は結局4回も行き、学校側に「アテンド料とってもおかしくないくらいですね」と冗談を言われたほどだ。でも、こんな体験が出来たのは、間違いなく「チャイルドフレンドリー」なフィリピン人の船員とその家族のおかげだ。小さな子どもを連れているとどうしても行動が制限されてしまう日本での生活に慣れてしまった私にとって、「子連れであることが何の弊害にもならない」というのは、言葉で表せないほどの喜びを与えてくれた。

ソルパ島の浜辺でくつろぐルール−(中央)にキスをする兄のシンシン=今村優莉撮影