選手時代、まるで踊るようなプレーで人々を惹きつけたジネディーヌ・ジダン現レアル・マドリー監督。そのプレーは人々にとっては宝物のような思い出であり、何度も見返されている。そして、何度も見返される映像には、彼に翻弄される選手もいつだって映し出される。元バジャドリーDFアルベルト・マルコスは、その最たる一人だろう。

ジダンを象徴する技と言えば、ボールを中心に自身が回転するマルセイユルーレットだが、それが見事に決まった試合の一つが、2003ー04シーズンのバジャドリー対レアル・マドリーだった。

ジダンはグティ、ロナウドがつないだボールを受けてペナルティーエリア内に侵入。襲いかかってきたアルベルト・マルコスを華麗なルーレットで置き去りにすると、GKも抜き去って無人のゴールにシュート。だがスペイン語の実況が「何て感動的なんだ!」と叫んだ後に蹴られたシュートは、角度なく、態勢も崩していたためにクロスバーを越えていった。

アルベルト・マルコスはジダンという選手を象徴するようなこの場面について、スペイン『マルカ』とのインタビューで、次のように振り返る。

「最初はフィーゴのことを見ていたんだが、ジダンがペナルティーエリア内に入り込んできた。だから用心深くそっちへ向かったんだよ。そうして彼に寄せていったんだが、ルーレットという選択肢は、ほとんど頭の中にあった。ピッチ中央でルーレットによってかわされるならまだしも、あそこでやってのけるなんて……」

「少なくともゴールにはならなかった? まあ、不幸中の幸いってやつだな! もしゴールになっていたとしたら……。子供の頃からの友人、または知り合いが、あの映像を何回送ってきたか分かるかい!? あの映像が流れる度に、私に送ってくるんだよ。まあバジャドリーにとって、あのプレーはそこまで重要ではなかったわけだが。私にとっては勝ち点3の方が大切だったし、そうした結果にならなかったのだから、何でもなかったとなるべきだろう」

「ジダンと、あれから話したことは一度もない。彼がどんな選手だったか、今さら発見する人もいないだろう。生来の凄まじい才能があり、自分で突破しなければならないときには突破して、パスを出すべきときにはパスを出す。私は彼のことが大好きだったし、とても完璧な選手に思えた。最も好きだったのはレドンドだが、ジダンも彼と同じく神だったよ」

「選手は股抜きなどをされると苛立つものだが、私にとってはそこまで重要なことじゃなかった。(ジダンにかわされる映像が)不快かと言えば、実際はそうじゃない。私自身、その映像を人に送っているんだからね!」