28日のラ・リーガ第32節、レアル・マドリーはRCDEスタジアムでのエスパニョール戦に1-0で勝利した。

前日にバルセロナがセルタと引き分け、勝ち点2差をつけられる好機を得たマドリーが今回乗り込んだスタジアムはバルセロナ県。アベラルド監督解任に揺れるエスパニョールの本拠地である。メンディ、モドリッチを出場停止で欠くジダン監督は、最近好調だったヴィニシウスもベンチに置いて代わりにイスコを起用。GKクルトワ、DFカルバハル、ヴァラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ、MFバルベルデ、カセミロ、クロース、FWイスコ、ベンゼマ、アザールをスタメンとしている。

マドリーは左サイドのマルセロ、アザール、またベンゼマのコンビネーションによって4-4-1-1のエスパニョールを崩しにかかるが、なかなか穿つことができない。対して、ルフェテSDが暫定的に指揮を執るエスパニョールは、同サイドに位置するウー・レイの快速ドリブルなどを起点とした速攻によってゴールをうかがった。

前半は大きな決定機もないまま時間だけが経過。そうしてアディショナルタイムへ突入したとき、ベンゼマがフットボールを一つの芸術へと昇華させた。マルセロのサイドチェンジのボールをS・ラモスが頭でペナルティーエリア内右に送る。このボールに追いついたベンゼマは、追ってくるベルナルドを背中に感じながら、ゴールエリアの角で後ろを振り向くことなく右足でヒールパス。ボールはベルナルドの股を通ってエリア内中央へと転がっていき、走り込んだカセミロがネットを揺らした。

ベンゼマのこの芸術は、2010年にデポルティボの本拠地リアソールで、グティが見せた魔法のヒールと瓜二つだった。しかも19年ぶりにリアソールを攻略したあの試合で、グティからボールが出ることを信じて走り込んでネットを揺らしたのは……、ベンゼマである。あれから10年、魔法のヒールはマドリーの天才からマドリーの天才へと受け継がれた(しかも今回ゴールを決めたカセミロは、グティの背番号だった14番をつけている)。

ちなみにゴールの直後、先にアルメリア監督を解任されたグティは、自身のヒールパスを取り上げた「神のヒール」という見出しの『マルカ』1面をプロフィール画像にする『ツイッター』アカウントで、「魔法だアミーゴ。素晴らしい」とベンゼマのプレーを称賛している。

後半、マドリーはエスパニョールを左右に揺さぶりながら細かいパス回しを繰り返して追加点を狙う。ジダン監督は63分に交代カードを切り、アザール、イスコを下げてヴィニシウス、ロドリゴのブラジル人若手コンビをピッチに立たせる。その後、ピッチに残ったベンゼマが攻撃の流れを生み出し続けたマドリーだが、2点目は奪えず。終盤にはエスパニョールの反撃にも遭い、ベンゼマの魔法のヒールによって生まれた虎の子の1点を守り切る形で、試合終了のホイッスルを迎えている。

ラ・リーガ再開後5戦全勝と絶好調の首位マドリーは、前節まで同勝ち点で並び、当該対決の成績でリードしていたバルセロナに勝ち点2差をつけることに成功。エスパニョールは残留圏と勝ち点10差で最下位に沈んでおり、クラブ内の混沌もあって、降格へのカウントダウンが始まっている。

■試合結果
エスパニョール 0-1 レアル・マドリー

■得点者
レアル・マドリー:カセミロ(45分)