新型コロナウイルス感染拡大でリーガ・エスパニョーラが中断しているスペインだが、ここに来て再開への動きが加速している。だが不安要素として、選手の負傷が増える可能性があるという。スペイン『アス』がレポートしている。

スペイン政府のスポーツ上級委員会は先に、4つのフェーズに分けたリーガ再開のプロトコルを発表。それに従えば、選手たちはクラブの用意する宿泊施設で一人ひとり隔離生活を余儀なくされる可能性があり、スペイン・フットボール選手協会が反発している状況だ。

選手たちが恐れているのは、そうした生活によるストレスの増大及び、それに関連した負傷であるという。マドリー自治大学のスポーツ心理学研究者であるラファエル・マテオス氏は、ストレスと負傷の関係性について、次のよう語る。

「負傷はとても複雑な現象で、様々な原因によって生じてしまうものです。その中の一つがストレスであり、負傷に苦しむ可能性を高めてしまいます。選手たちが先行きの分からない隔離生活や、感染への恐怖を感じながら過ごすとすれば、高い確率で負傷が増えるでしょう」

実際、フランスのフットボール選手会が発表した研究結果によれば「4選手の内3選手が負傷を恐れている」らしく、その理由はリーグ再開の2試合目から「負傷が6倍に増える」ためであるという。

例えばNFLでは、2011年に労働条件に関する問題でシーズン開幕が14週間遅れたが、同リーグのアキレス腱断裂の発生回数がシーズン平均5回であるのに対し、当該シーズンは開始初月に12回、その内10回が最初の12日間に生じている。バレンシア自治州のスポーツ心理学協会会長のダビド・ペリス氏が、そうした現象が起こる理由を解説した。

「アスリートが高いレベルのストレスを感じるとき、睡眠、記憶力や集中力の欠如、食事などに関連づいた問題を抱えることになります。筋肉の緊張も起こるほか、判断も鈍くなることから、負傷のリスクは増えてしまいます」

その一方で、健康・スポーツ心理学者のアルバ・ビジャメディアナ女史は、こうした状況下で成果を挙げられるのが、能力ではなく精神的な心構えがある選手であるとの見解を示している。

「感情が安定している選手の方が有利となるでしょう。現在のような状況では、秀でた能力ではなく、プレーに臨む姿勢の方が強調されるはずです」

「恐怖という感情は、選手たちにとっては付き物です。恐怖は悪い感情ではなく、それに抗うのではなく、上手に付き合っていかなくてはなりません。そこについての責任は、監督が持つ必要があります。望まれる成果を挙げるため、目標に焦点を合させなくてはいけないのです」

リーガが実際に再開するとすれば、選手たちはいつも以上の精神力が求められることになりそうだ。