爆買いのミランに、ボロボロのバルセロナ…移籍市場の勝者と敗者を中間総括

爆買いのミランに、ボロボロのバルセロナ…移籍市場の勝者と敗者を中間総括


勝者:ACミラン


Leonardo Bonucci Milan

ここ最近はずっとファンにストレスを強いていたミランであったが、買収騒ぎがようやく終結し、ファンは今夏の移籍市場で、新しい中国人オーナーが大盤振る舞いをしてくれることを願っていたに違いない。しかし新オーナーがこれほどまでに派手な騒ぎを起こすとは、思ってもみなかったであろう。

これまでのところ、ミランは10人の新規加入選手を総額2億1530万ユーロ(約330億円)で獲得し、アンドレア・コンティやフランク・ケシエ、ルーカス・ビリアの移籍を実現させた。

中でも衝撃的であったのは、昨シーズンのチャンピオンチーム、ユヴェントスからレオナルド・ボヌッチを獲得したことであろう。この出来事はサッカー界全体を驚愕させ、ミランは一気に注目の的となった。ミランのスポーツ・ディレクター、マッシミリアーノ・ミラベッリでさえも「ボヌッチの獲得は簡単ではなかったが、我々は大変なことをやり遂げたのだ」と認めたほどだ。

昨シーズン、ミランはリーグを6位で終えたが、今年の補強を見る限り、今シーズンは優勝を狙えるチームに変化を遂げたと言えるだろう。もしミランが最後の追い込みとしてリーグ開幕前に、ニコラ・カリニッチやアンドレア・ベロッティ、ピエール=エメリク・オーバメヤンといった大物ストライカーを獲得すれば、もはやミランに不可能はなくなる。


勝者:ミーノ・ライオラ


Mino Raiola

ミーノ・ライオラは高額で選手の移籍を取り付ける「スーパー代理人」だ。ジャンルイジ・ドンナルンマとミランとの契約更新の話し合いを牛耳って、ますますその悪評が際立ったことは記憶に新しい。しかし本人は全く気にしていないようだ。

最終的にドンナルンマはミラン残留が決まったが、それでもライオラは元々のオファーよりも多額の資金をクライアントにもたらすべく動き、新契約に低額でのバイアウト条項(移籍時の違約金条項)を入れることも取り付けた。これによりまだ10代のゴールキーパーであるドンナルンマは、いずれ移籍する場合に備えて、よりステップアップしやすい状況を手に入れたのである。

しかしながら、ライオラが今最もハッピーでいられる理由は、自身が代理人を務める将来性豊かな若きタレント集団の中に、マルコ・ヴェッラッティを加えられたことだろう。PSGは断固としてイタリア代表のヴェッラッティを「どこにもやらない」と言っているが、ヴェッラッティが元代理人のドナート・ディ・カンプリをクビにして、代わりにライオラを隣に据えた事実は、すぐにでも彼がパリを去りたいというサインでもあろう。実際、バルセロナがヴェッラッティを狙っているという話もいまだ収束には向かっていない。

ヴェッラッティをクライアントとして迎えることができたライオラは、これまでよりさらに多くの金を手にするはずだ。すでにこの夏にもロメル・ルカクをオールド・トラッフォードへ向かわせる交渉をして、自らの富を増大させたにも関わらずだ。彼はまさに「移籍市場の帝王」と呼ぶにふさわしい。


勝者:レアル・マドリー


Danilo Luiz Manchester City unveiling 07232017

レアル・マドリーは常に移籍市場における主役である。それがいつでもレアルにとって得なものであるとは限らないが、これまでの高額移籍トップ10のうち4件がレアル・マドリーというのはまさに移籍市場でも“勝者”と言うに相応しい。

才能ある選手をストックし、不要な選手は売るという、シンプルであるレアルの方針は、チームに多くの黒字をもたらしている。今夏は控えのストライカー、アルバロ・モラタをチェルシーに移籍させて7000万ユーロ(約90億円)を獲得し、ハメス・ロドリゲスをバイエルン・ミュンヘンに売って1000万ユーロ(約12億円)を手にすることとなった。

しかしながらレアルの今夏の最大の成功は、マンチェスター・シティにダニーロ・ルイス・ダ・シウバは3000万ユーロ(約39億円)の価値があると思わせたことであろう。その資金でレアルは今、ASモナコの若きスター、キリアン・ムバッペを世界最高額の1億8000万ユーロ(約233億円)での獲得を狙うことができている。今夏すでに大活躍の若手スター、ダニ・セバジョスとテオ・エルナンデスを呼び寄せたところを見ると、レアルのヨーロッパ支配の野望に終わりがないことが見てとれる。


敗者:ピエール=エメリク・オーバメヤン


Pierre-Emerick Aubameyang

ピエール=エメリク・オーバメヤンはフランスの天才プレーヤー、ムバッペが台頭するまでは、いつかレアル・マドリーのスターティングメンバーになるという祖父との約束を叶えられると信じていた。

確かにボルシア・ドルトムントのアタッカーであるオーバメヤンは、昨シーズンさまざまな才能を我々に見せつけた。チャンピオンズリーグでのマドリーとの対戦では自ら得点を決めただけではなく、マルコ・ロイスのゴールをアシストして2点ビハインドから追いつき、ホームクラブを勝ち点で上回って、チャンピオンズリーグのグループFのトップに立ったのである。

これほどまでにレアルに対してアピールができた28歳のオーバメヤンだが、レアルは彼に全くもって興味を示さず、1月には中国行きもうわさされた。これはおそらく彼の祖父の希望からは遠くかけ離れたことであろう。

オーバメヤンはプロとしてのキャリアをスタートさせたミランへの復帰が取り沙汰されたこともあったが、ドルトムントは断固としてオーバメヤンを手放すことを拒否しており、少なくとも今後6カ月はドルトムントに居続けることは間違いない。


敗者:バルセロナ


HD Neymar Barcelona ICC

現在バルセロナが移籍市場で行っていることは全てが逆効果と言っても過言ではない。先日、加入したネルソン・セメドが、練習でネイマールを怒らせたのもそのひとつだ。ブラジル代表のネイマールは激怒してピッチを去ってしまった。……そしてクラブからも去っていった。

ここまでのところ、この夏のバルセロナはよく言って面白みに欠けており、悪く言うととんでもなく壊滅的だ。リオネル・メッシとの契約更新が最高のニュースであることは明らかだが、メッシの後継者たるネイマールが離脱した今、メッシの残留には何の意味もないようにすら思える。

バルサの経営陣たちが一貫したプランを持っていないことは明らかだ。彼らは率先して動くのではなく、リアクションに終始している。突然リヴァプールのフィリペ・コウチーニョとの契約に乗りだしたのもその表れで、これは今はいないネイマールにPSGからのオファーを忘れさせるための試みだったのかもしれない。

バルセロナはエクトル・ベジェリン獲得に失敗し、セメド獲得へと方向転換をしたのだが、一番のターゲットであるマルコ・ヴェッラッティがカンプ・ノウに来る日が近づいているようには一向に見えない。ヴェッラッティは移籍に前向きであるようだが、そもそもバルサはバルサに入りたいと思っている選手とさえ、契約できないでいるのだ。

現状からすると、バルサは昨シーズン終了時よりも明らかに劣るメンバーで新しいシーズンを迎えることになりそうだ。温厚なアンドレス・イニエスタでさえ「平穏な状態に戻ることが、誰の利益にもかなうことだと思う」と、混乱の終息を願う談話を公式に発信している。


敗者: フィオレンティーナ


Federico Bernardeschi Juventus

イタリアサッカーの黄金時代を覚えている者にとって、ガブリエル・バティストゥータがけん引していた頃のフィオレンティーナは、セリエAで最も見るべきチームの一つであった。そうした者たちの目に現在のフィオレンティーナの苦境は、信じられないほどの悲劇として映っているだろう。

間違いなく、今でもフィオレンティーナは、スタジアムのファンたちに観戦する喜びを与えてくれるチームだ。しかしピッチの外では完全な混乱に陥っており、長く会長をしているデッラ・ヴァッレ一族は6月、ファンの不満を理由にクラブを売りに出すと発表した。以下はオーナーが発した声明だ。

「サポーターが不満であるというならば、我々はACFフィオレンティーナの所有権を完全に放棄し身を引いて、サポーターが正しいと思う通りに運営したいという人にクラブを手渡そう。紫のユニフォームを愛し、クラブを我々とは全く違うように運営することができると信じ、さらなる成功が訪れると信じる人たちの時代が来たのだ」

これまでのところ買い手はまだ現れていないが、遺産の剥奪が本格的に始まっている。

ファンはすでにゴンサロ・ロドリゲスの退団に落胆しており、ヨシップ・イリチッチとボルハ・バレロ、フェデリコ・ベルナルデスキの逃亡にも激怒した。チームの若き宝であったベルナルデスキが、フィオレンティーナが最も憎むべきライバルチーム、ユヴェントスへ移籍した裏切り者であることは否定できないとしても、彼がチームを去る選択をしたこと自体は驚くべきことではない。

2013年までフィオレンティーナに所属していたチェルシーのウィングバック、マルコス・アロンソが先週暴露した通り、フィオレンティーナはもうずっと前から大混乱に陥っていた。彼は、「僕が所属していた時でさえ何が起こっているのか、誰にも分かっていなかったよ」と発言している。

フィオレンティーナはボロボロだ。マティアス・ベシーノはインテルへと移籍をしたし、ミラン・バデリとニコラ・カリニッチもチームを離れる可能性が高い。こんな投げ売りが続くフィオレンティーナには、移籍市場が閉じる前に現れ、チームを救ってくれる新しい投資家が是が非でも必要なのだ。だが、悲しいことにその可能性も今のところ薄い。

文=マーク・ドイル/Mark Doyle

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