バーチャル見学はリアル見学の代替になりうるか

北海道で唯一の原子力発電所である泊発電所は、札幌から直線距離で約70km。近いように思えるが車で行くとなると二時間以上も掛かる。しかも、発電所内の見学は事前予約が必要で、今日は暇だからぶらっとという訳にはいかない。そんな不便を解決してくれるのがインターネット上の「バーチャル見学」。現地まで行く必要も、見学申請も必要ない。もしかしてバーチャル見学なら普段入れない様な原子炉の中まで見ることが出来るのではと期待を抱きながら、ページをクリックした。(坂田 大輔)


泊発電所バーチャル見学の画面
泊発電所バーチャル見学のページが表示されると、「実際に泊発電所を訪ねた感覚で見学できます」とアピールする制服姿の男女が迎えてくれる。

見学をスタートすると、案内ルートが紹介される。女性のキャラクターの「どうぞごゆっくりとご見学ください」との挨拶に、制服姿の女性(女子高生?)が「面白そうね」と期待を込めたコメントだ。

次に進むと唐突に展望台の風車の紹介である。「風がないと回らないのが残念」とのコメントに思わず突っ込みたくなる。しかし、これって原子力発電所の見学ルートに入れる程だろうか。

発電所のマスコットキャラクター「とまりん君」が登場すると、いよいよ発電所に入っていく。ページを進んで行くとタービン建屋や、中央制御室の紹介がある。ここでは、内部の様子が360℃見回すことが出来る。と言えば、Googleストリートビューの様で格好良く聞こえるが、悲しいかな300×200ピクセル程度の小さなウインドウである。迫力や臨場感には乏しい。ボンヤリしていると、とまりん君がせっかく出題しているクイズも見逃しそうだ。最後の安全対策の説明が、模式図、説明ともに非常に丁寧で分かりやすいのは評価できるのだが… 結局、バーチャル見学できるのはタービン建屋と中央制御室だけなのである。

バーチャルツアーに対し、泊発電所「リアル」ツアーでは、発電所ゲートから各施設ごとに入退場が確認され、更には原子炉施設では被放射線量チェックもあり、原子力発電所の安全管理の厳重さを思い知らされた。また、原子炉の近くで感じる熱や、発電所で働く人々の熱気は到底バーチャルツアーでは感じる事が出来ない。また、広報担当者が見学者の質問に熱心に答えてくれ、人と人とのコミュニケーションの面白さもある。ネットがこれだけ広がり、デジタル映像技術が発展してきてもバーチャルツアーがなかなか発展してこないのはそういった空気感を伝えられない事にも原因があるのだろう。

さすがに実際の見学路を全てGoogleストリートビューの様にして見せる必要はないが、とまりん館と発電施設の紹介の分量が同じというのは、「泊発電所バーチャル見学」と銘打つには物足りなさ過ぎるのではないか。また、バーチャルツアーなら、見学途中で生まれる疑問や深く知りたい事の詳細ページや検索へのリンクを用意することが出来るはずだが、そのような工夫はされていない。逆に言えば、いくらでも工夫の余地があるということだ。

 

この記事はgooニュースと北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット(CoSTEP)のコラボレーションによるものです。取材に当たっては北海道電力などの協力を得ました。


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