水に流されると困ります、原子力発電所内から出る「うんち」の行方

「みなさん、鉄腕アトムは原子力によって100万馬力のパワーを生み出しています…ということはアトムのうんちは放射性廃棄物ということになるんですよ、そんなものトイレに流されると困ります!」。ずいぶん前に芸能人がこんなネタを話しているのを見たことがある。21世紀の今、アトムは存在していないが、別の問題がある。原子力発電所の放射線管理区域内にトイレが設置されており、排泄物は放射性廃棄物として取り扱われているのだ。(古川 泰人)

北海道電力によると、泊原子力発電所では、最近まで放射線管理区域内にはトイレが設置されていなかったそうだ。そのため作業員達は用を済ませてから管理区域内に入るか、いったん管理区域外に出て用を足すという事を行っていたという。

しかし、作業員が管理区域外に出るためには、放射線防護服を全て脱ぎ、機械による被爆量チェックを受けなくてはならない。つまりいったん放射線管理区域内に入ってしまうと、行きたいときにすぐトイレに行ける環境ではなかったのだ。
作業員も人間である以上、いくら注意していても、はたまた我慢や気合がいくらあっても、突発的な「非常事態」は避けられない。現場サイドからどのような意見が出たのか不明だが、最近になって「業務遂行上の作業環境の改善」を目的として、放射線管理区域内にトイレが設置された。

設置されたのは焼却式とバイオ式の二種類。焼却式トイレは電熱線などで汚物を焼却する仕組みになっており、1・2号機に設置されている。また、バイオ式トイレはスギチップやおがくずとバクテリアによって汚物を分解し、今年稼働予定の3号機に設置されている。
どちらのタイプも山小屋、地下鉄の工事現場、野外コンサート会場など下水道設備のない環境で主に使用されている。つまり、放射線管理区域内からの排泄物は下水道に流されているわけではなく、「水に流す」という問題は存在しない。
だが、焼却式、バイオ式トイレによって排泄物が完全に消滅するわけではない。焼却式トイレからは体積は小さくなっても灰は残るし、バイオトイレのスギチップやおがくずは数ヶ月ごとに交換しなくてはならない。
 
実は、放射線管理区域で産まれた排泄物は原子力基本法に則って処理されていく。法律では、放射線管理区域内で発生した廃棄物は放射能の有無にかかわらず放射性廃棄物として取り扱うこととなっており、排泄物も例外ではないのだ。
北海道電力によると、トイレから出た排泄物は、まず発電所内の専用焼却設備で完全に焼却処理され、低レベル放射性廃棄物としてドラム缶に詰めて敷地内で保管される。その後青森県六ヶ所村の日本原燃に輸送されたのち、同社の低レベル廃棄物埋設センターにおいてコンクリート等で埋設処分をされるという。放射線管理区域内で排泄されただけで、ずいぶん数奇な運命をたどることになるようだ。

 

この記事はgooニュースと北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット(CoSTEP)のコラボレーションによるものです。取材に当たっては北海道電力などの協力を得ました。


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