高齢者や基礎疾患をもつ人は重症化しやすいと言われている新型コロナウイルス。重症化してしまった際に、命を助ける「切り札」となる医療機器があります。

 「静脈から脱血、血液を引っ張ってきて、ここで血液中に酸素を与える。酸素化された血液を、今度は首の方の太い静脈から右房まで戻す」(函館市病院局・氏家良人病院局長)

 「ECMO(エクモ)」と呼ばれる人工心肺装置です。患者の血液を一度体の外に出し、酸素を加えて再び体内に戻すことで、肺の代わりとなります。

 「こういうエクモと言う装置は、日本でいちばん使われているのが救命センター。心臓止まっていても全身に酸素を送り込む」(函館市病院局・氏家良人病院局長)

 このエクモが、コロナウイルスで肺炎が悪化するなどして重症になった患者の治療に有効であることがわかってきました。

 「きょう聞いたら(これまで治療例は)33例。1例は亡くなったが、半数は離脱できた。助かった」(函館市病院局・氏家良人病院局長)

 実際にエクモを使って、コロナウイルスの患者を治療し、国内で初めて回復させた医師は…

 「(エクモが)最後の切り札であることは間違いない」(竹内医師)

 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から運ばれてきた患者の治療にあたった、横浜市立大学救命救急センターの竹内医師です。なかでも重篤だったのが、乗客でアメリカ人の70代の女性でした。

 「生命の危機にひんしている状況だった。このまま行くと肺の障害も、もっともっと進行してしまうだろうということがあったので、人工呼吸器だけでは救命が難しいと判断した」(竹内医師)

 女性は6日間エクモを装着したのち、呼吸状態が改善。現在では退院基準を満たすまでに回復したといいます。日本呼吸療法医学会によりますと、道内の医療機関には、少なくとも59台のエクモがあります。市立函館病院では、まだコロナウイルス患者には使われていませんが、今後の活用に期待が寄せられています。

「(なぜ効果的?)肺の細胞自体が炎症で、壊れてしまった場合はエクモやっても時間かせぎ。治らない。しかし今回言われていることは、(新型コロナによる肺炎では)肺の実質の障害はそんなにひどくない。炎症はあるが、それは時間がたてば治るので(エクモの)有効性がある」

 一方で、設備の維持や管理の負担が大きく、活用には課題も多いということです。