3年連続で決勝戦は県内2強の対戦に!春季埼玉県大会を振り返る

県内2強が3年連続決勝

河北 将太(浦和学院) 

 最終的には花咲徳栄と浦和学院の県内2強が3年連続決勝でぶつかるという、いつもの結果となった春季埼玉県大会、優勝したのはやや前評判の低かった浦和学院であった。だがそこまでの過程は見逃せない。今大会ベスト16に残り、夏のシード権を掴んだ高校の内訳だが、北埼玉の3(北部2、東部1)に対し、南埼玉は13、その内最多は西部地区の7(ベスト8に5チーム残った)そして南部は6、これを見ても今大会いかに南北のレベルに偏りがあったかを物語っている。

  

 そんな今大会の上位に残ったチームを中心に振り返っていきたい。

 

 まず優勝した浦和学院だが、今大会は左右のダブルエース佐野 涼弥、渡邉 勇太朗が怪我で不在、さらに主砲・蛭間 拓哉も腰の状態が万全ではないということもあり、苦戦が予想されたが、その他の選手達が頑張った。近野 佑樹、河北 将太の2枚がゲームを作り、少ないチャンスを確実に物にする。さらに打線では左偏重の中で大会中に3番に入った河北 将太が長打も打てる貴重な右打者として今大会MVP級の活躍を見せた。
 結果として佐野 涼弥、渡邊 勇太朗以外の投手陣の底上げに成功した形だ。今大会やや低調であった蛭間 拓哉だが、本来はどっしりとした下半身主導のフォームから広角に強烈な打球を飛ばす。それでも決勝の最終回で意地の同点本塁打を放ち復活の狼煙を上げた。夏に向けては問題ないであろう。もう既にピッチングは行っているというMAX140kmコンビ佐野 涼弥や渡邊 勇太朗が夏までに状態を上げてくれば、4年ぶりの夏へ視界は良好だ。あとは1、2番の出塁率や下位打線の充実が今後の課題か。

 

 一方、決勝で敗れた昨夏全国覇者・花咲徳栄も初戦こそ川越東に苦しめられたが、その後は決勝まで全試合コールドで勝ち上がるなど全く危なげない内容であった。「投打で野村 祐希におんぶに抱っこでは夏は勝ち上がれない」と関係者も言っていたが、今大会はあえてピッチャーとして野村 祐希を使わなかった。おそらく、誰が、昨夏の綱脇 慧のようなポジションを任せられるかの選定をしていたと思うが、そういう意味では中田 優斗がある程度一本立ちしたのは大きい。
 おそらく夏は彼を中心とし、左腕の和田や斎藤などを交え最後は野村 祐希というリレーになるであろう。野村 祐希の打力は既に知られており言うことはないが、投げてもMAX146kmのパワーピッチャーである。彼への投打の負担が夏どれだけ減らせるかが今後の投手陣の課題であろう。打線では、野村 祐希と韮沢 雄也が中心となり、花咲徳栄としては異例の1年生春から出場し、今大会早くも県営大宮で2発を放つ活躍を見せた怪物井上 朋也も連覇へ向けてのキーマンとなる。

 

 今大会躍進した西部地区のチームでまず挙がるのは2年生左腕和田 朋也を擁し3季連続ベスト4へ進出した山村学園であろう。和田 朋也はMAX137kmだが、執拗にボールを動かし打者の芯を外す既に完成された投球術を持つ投手であり、今大会もベスト4への原動力となった。打線も木内 輝、野邨 祐樹、長谷川兼太、深田 竜二、和田 朋也と長打を打てる打者が揃っており、夏も和田 朋也の調子が万全であれば上位進出は堅いであろう。
 問題はもし浦和学院と再戦することになった時に彼の球筋を見せてしまったことであろう。今大会本気で浦和学院に勝ちに行き、初の関東大会を狙っていただけに1対0での敗戦は痛いが、執拗なインコース攻めに遭うなど対戦して得たものもあるはずだ。和田 朋也以降の投手の整備をし、浦和学院へリベンジを果たしたい所であろう。

プロ注目・埼玉栄の米倉 貫太

米倉 貫太(埼玉栄) 

 同じくベスト4のふじみ野は花咲徳栄戦こそ打ちこまれたがエース左腕・梅澤 駿平が今大会成長の跡を見せ、一本立ちしたのは収穫だ。梅澤 駿平はテイクバックが小さく変化球とのコンビネーションで勝負するタイプの投手で、中学時代からバッテリーを組む大野との息はぴったりだ。打線は吉田 健太郎、大野 竜也を中心とし、他にも福室和希、梅澤 駿平には長打力があり切れ目がない。あとは内野の守備力が安定して来れば夏も今大会のような活躍を期待できるであろう。

 

 好投手と言えばプロ注目埼玉栄の米倉 貫太も忘れてはいけない。今大会は昨秋に続き山村学園の和田 朋也に投げ負けベスト8に終わったが、MAX146kmを計測する直球にはやはり魅力がある。フォームもこれといった欠点が見当たらない。だが、メンタル面に課題を残すだけに、夏までにその点をどう克服するかがチーム浮沈の鍵を握るであろう。打線も和田 康平、鈴木 貴大、池ノ上和貴のクリーンアップは破壊力があり、今大会は怪我で不出場であった正捕手渡部 壮大が戻れば迫力が増す。

 

 同じくベスト8の市立川越もエース太賀 龍丈と左腕・和田 光の2枚看板は健在で、課題の打力も一冬を越し迫力が出てきた。旧チームから投げていて昨秋も関東大会出場と経験豊富な投手であるエース太賀 龍丈は、ややのけ反るようなフォームから投球するのは気になるが、投げ下ろしからの角度を活かし縦の変化球を武器に相手を打ち取る。さらに昨秋浦和学院相手に好投した左腕和田 光もおり、この2枚看板は夏の連戦を考えても優位に働くはずだ。

 

 狭山ヶ丘は今大会多くの選手に経験を積ませることに重きを置いたが、あくまでエース村田龍星が中心だ。彼は沈み込むようなフォームからの140km近いストレートは威力があり、上尾戦で2本塁打を放つなど長打力も併せ持つ。打線も飯島 俊太、萩原 大貴を中心に悪くないが、数年前までは打撃が売りのチームであった狭山ヶ丘とすれば、これくらいはアベレージであろう。夏へ向け打力をもうワンランク上げたい。

 

 今大会は2年生中心で臨んだ聖望学園も投打の軸坂本 颯太に対する負担が軽減すれば十分にチャンスがある。春はベスト16で山村学園に敗れたが、夏へ向け今度は3年生が意地を見せる番だ。岡本監督は元々夏へ向けチームを仕上げる事には定評があるだけに、坂本 颯太以外の投手陣を整備し、本家ハンマー打線を武器に勝ち上がってくるであろう。

記念大会は埼玉から2校が出場。夏へ向け準備を整える

小川 竜太郎(上尾) 

 今大会ベスト16の上尾はあくまでエース木村 歩夢と切り込み隊長小川 竜太郎が投打の軸だが、寺山や川田など木村 歩夢以降の投手の目途も立ちそうで、夏はこれまでよりも木村 歩夢に対する比重は減るかもしれない。
 むしろ課題は打線か。既に上尾で絶対的な選手になりつつある小川 竜太郎、前が大きくシュアなスイングであるだけに波も少なく長打も出る。足もあり申し分ない選手だ。現状は小川と、打力もある木村 歩夢が目立っているだけに、その他の選手達がどこまで打撃のレベルを上げてくるかがチームとしての課題であろう。

 

 栄北はエース高木 大地があくまで投打の柱である。さらにチームとして打つことに関しても自信を持っている。ただこのチームの問題は走塁や、バント、守備力などそれ以外の部分だ。高木 大地は計算できる投手であるだけに、夏までに特に内野守備陣が当たり前のように併殺を取ること、攻守に状況判断を上げる事ができるようになれば上位へ浮上してくるであろう。

 

 川口市立はエース星山が一本立ちしたことが大きい。右サイドからのコーナーワークが武器の投手だ。他に大型2年生左腕中島もいるが、浦和学院戦のダメージをどれだけ払拭できるか。あとは稲生を中心とした打線がどれだけ星山をカバーできるかが上位進出への課題だ。

 

 ノーシード組では春日部共栄と川越東が挙がる。まず春日部共栄だが、今年は渡部 太陽、大木 喬也、内藤 竜也を中心とした投のチームだ。例え強打の花咲徳栄であっても早い段階で春日部共栄と当たることは避けたいであろう。
 それくらいバリエーションは豊富な投手陣を誇る。とにかく課題は打線だ。現状は主戦クラスの渡部 太陽がクリーンアップを打たなければならない苦しい布陣だ。鳴り物入りで入学した渡部 太陽もピッチャーとしては思ったより伸びていない。もちろん夏は大木 喬也、内藤 竜也を中心に回すであろうが、夏までに打線全体のレベルアップが求められる。

 一方の川越東は旧チームから投げているエース小笠原 海大に、2年生の宮崎元気、左腕の大澤が絡む布陣であろう。打線では山本 修平、菅原に冬場の紅白戦で結果を残した浪江 麟太郎が急成長し、花咲徳栄相手に本塁打を放つなど、1点差の好ゲームを演じたことは今後へ向け自信になるであろう。

 

 今大会その他の好投手を挙げるとすれば浦和実・英 真太郎や立教新座・三輪 真聖の両左腕であろう。彼らは旧チームから登板しており経験値も高い。ボールにキレがあり球の出所も見にくい好投手であるだけに強豪校も彼らと対戦する時は注意しなければならない。

 その他地区で消えた選手についても例えば帝京から編入した草加東の長田 浩希など素材タイプの選手は数多くいる。夏に向けて手ぐすねを引いて待ち構えるチームや選手は他にもいるだけに夏へ向け浦和学院、花咲徳栄も予断は許さないであろう。

 いずれにせよ今大会は記念大会で埼玉から2校が出場できる。それだけにどの高校もこの夏へのモチベーションが高い。順当に行けば浦和学院、花咲徳栄であろうが、順当に行かないのが夏の大会だ。今頃は各校がこの春の大会を踏まえ、夏へ着々と準備を整えているであろう。その時は近い。

 

(文=南 英博)

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