名将が醸し出す「すべて勝負」の全体練習 広島新庄(広島)【前編】

 センバツ1勝の広陵、センバツ出場でシード権も得ている市立呉。春の県大会Vで名門復活の胎動を示した広島商に、新監督が就任しシード権を獲得した如水館と崇徳。さらに春県大会ベスト4の広に、8強入りでシード権獲得の広島井口、尾道商、市立沼田に最速152キロ右腕の谷岡 楓太(3年)を擁する武田など、7月12日(金)の開幕を前に混戦模様に拍車がかかる「第101回全国高等学校野球選手権広島大会」。その中でこの試合巧者も優勝候補にあげられる。

 2015・2016年には左腕・堀 瑞輝(北海道日本ハムファイターズ)を擁し夏の甲子園連続出場を果たし、昨年も大会決勝戦進出を果たしている広島新庄。1979年・三菱重工広島監督として都市対抗優勝。広島商監督でも2002年春・2004年夏に甲子園に導いた名将・迫田 守昭監督の下、彼らは2014年春を皮切りとする通算4度目の甲子園出場を虎視眈々と狙っている。
 では、そんな広島新庄が「試合巧者」たりえる理由はどこにあるのか?今回はグラウンドでの練習内容、迫田監督から明かされたチームコンセプトと、桑田 孝志郎(3年・投手)・木村 優介(3年・捕手)のコメントから、今までほとんど明かされなかった「広島新庄・強さの理由」について探っていく。

この10年間で残してきた大きなインパクト

学校から約3キロ離れた高台にある広島新庄野球部グラウンド

 「あ、明らかに気温が低い……」

 早くも真夏のような太陽が降り注ぐ「しまなみ海道」から3つの高速道路を使って北に約1時間半。広島新庄にほど近い北広島町・浜田自動車道の大朝インターチェンジを降りると、そこには避暑地のような冷気が漂っている。

 「気温も広島市内と比べて5℃は違います。こここは広島市内に行くより鳥取県や島根県に行く方が近いですからね」。硬式野球部・田津 直樹部長がこう説明を加えてくれた。よって冬になると学校から約3キロほど離れた丘の上にあるグラウンドは雪に覆われ、使用不能になることもたびたび。人工芝を張った縦長の室内練習場こそあるとはいえ、決して彼らは恵まれた環境で練習を行っているわけではないのだ。



広島新庄野球部グラウンド脇にある過去3度の甲子園出場記念碑

 にもかかわらず、この10年間における広島新庄が高校野球界に残してきたインパクトは極めて高い。2013年夏は広島大会決勝で左腕・田口 麗斗(読売ジャイアンツ)が[team]瀬戸内[/team]・山岡 泰輔(東京ガス〜オリックス・バファローズ)との0対0延長15回再試合を展開。この時は惜しくも甲子園初出場はならなかったが、その秋には田口の広島新庄左腕魂を受け継いだ山岡 就也(國學院大〜JX−ENEOS)が中国大会準優勝。初の甲子園となったセンバツでも再び桐生第一(群馬)との延長15回引き分けを味わいながら1勝1分1敗で駆け抜けた。

 そして2015・2016年には左腕・堀 瑞輝(北海道日本ハムファイターズ)をエースに広島県史上4校目となる夏の甲子園初出場からの2年連続出場で1勝と2勝。広陵をはじめとするタレント集団と比べ、決して戦力的に秀でているわけではないにもかかわらず勝ちにつなげる「試合巧者」ぶりは広島県・中国地区を超え、全国でも知られるところとなりつつある。

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グラウンドに繰り広げられる「勝負の世界」

1ヶ所バッティングでスピードガンの数字を記録する広島新庄学生コーチの大内 偉央要(3年)

 では、その秘訣はどこにあるのか?この日のメニューは4組に分かれてのボール回しとノック後に1か所バッティング。するとネット裏には男子部員1名と女子マネージャーがペアになって器具を持ちこみはじめる。そして投球と同時に構えるのは……スピードガンであった。

 「131キロ・120キロ」初速と終速を漏らさず記入していく2人。「これ、毎日やってるの?」おそるおそる大内偉央要・学生コーチ(3年)に聞いてみた。

 「はい。そうです。そして1か所バッティングはカウント1ボール1ストライクからの勝負です。たまに0ボール2ストライクからの時もありますけど」

 付け加えればフリーバッティングは変化球もちゅうちょなく投げ込む投手との「1球勝負」。1か所バッティングを含め、有効なバッティング・走塁ができた選手、抑え込めた投手、的確な守備ができた選手は4チーム程度で構成されるチーム分けの中で引き上げられ、そうでない場合は落とされる。すなわち広島新庄において全体練習は極論すれば「すべて勝負」なのだ。

 そして、その判断を司るのは三菱重工広島で全国制覇、母校・広島商でも2度の甲子園出場を果たし、2007年秋の広島新庄監督就任後現在までチームを率いる迫田 守昭監督。2014年センバツ出場時の二塁手、愛媛大を経て今年4月から母校に帰還した西島 晴人コーチが「グラウンドでも一番声が通ります」と驚く73歳は、バッティングゲージ裏で審判役を務め、その後も監督室で「注目すべき選手はずっと見ていますよ」と目を光らせつつ、このような「勝負の世界」的練習法を「田口(麗斗・読売ジャイアンツ)が入学した時(2011年)から採り入れている」理由について明かしてくれた。

 前編はここまで。後編では具体的に迫田監督が「勝負の世界」的練習法を採り入れている理由に迫ります。後編もお楽しみに!

(取材・寺下 友徳)

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