山川穂高に東浜巨...小さな島国・沖縄からプロ野球選手を輩出し続けられる理由 vol.3

 2017年、東浜 巨(沖縄尚学−亜細亜大−ソフトバンク)が16勝を挙げ最多勝に輝いた。そして翌2018年、山川穂高(中部商−富士大−西武)が本塁打王、多和田 真三郎(中部商−富士大−西武)が最多勝に輝き、沖縄出身選手がプロ野球界を席捲している。この小さな島国から何故、プロの世界で活躍出来る選手が生まれるのだろうか。色々な視点からひも解いてみようと思う。

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東浜巨、島袋洋奨、宮城大弥など大人も憧れるヒーローが続々と生まれる沖縄

二通りに分かれる選手特徴

高校時代の宜保翔

 前述の東浜 巨、島袋 洋奨、宮城 大弥は自分をストイックに追い込む型。その壁を自らの努力で打つ破り更なる高みへと昇ってきた。興南や沖縄尚学を選ぶ子たちは、殆どがその覚悟を持って入学していく。

 一方、山川穂高や宜保 翔などはちょっと違う。1997年に浦添商を夏の甲子園でベスト4に導いた盛根先生、また1994年那覇商で春夏甲子園連続出場した神山先生(現KBC学園未来沖縄監督)に指導されたとはいえ、どちらかといえば山川も宜保も自由奔放に近い形で高校野球を過ごしてきた。

 そういった選手が多いのは県立校に進む有望選手に多く見られる。浦添商、那覇、宜野座、中部商、八重山商工、嘉手納、糸満とその地域から甲子園を目指そうという機運が高まっているのも手伝って、1校に選手が集中するというのは昔に比べそこまでないという印象の沖縄。だからこそ、「戦国化」しているとも言えよう。

 どちらが勝つかという予想が、当てにならないのが沖縄の高校野球だ。選手に関して言えばストイック型と自由奔放型に分かれるともいえよう。そのような視点でドラフト会議を見てみると、また違った観点で楽しく見ることが出来る。

平良海馬に伝えたこと

高校時代の平良海馬

2011年、多和田 真三郎に関しては、セ・リーグのある球団が指名するというのが濃厚だったが蓋を開けてみると指名なしに。しかし富士大に進んだ多和田は1年の秋、明治神宮でノーヒットノーランを達成。西武に進んだあとの活躍は押して知るべしだ。

 また、比嘉幹貴や嘉弥真新也、又吉克樹などは中継ぎやリリーフとしての活躍の場で成功。嶺井 博希も強みであるリード面を磨き、終盤で登場するなど自分が置かれた立場で力を発揮するという成功例を見せていることから、高校生らにひとつの勇気を与えているのではないかとも思う。

 ドットコムで取材した平良 海馬に取材後、筆者はこう伝えた。
「甲子園にも出ていないのに本当にプロが指名するのだろうかという不安があるのは分かる。でも、誰もが150Kmを出せるわけではない。その能力を持っているのに志望届を出さないのは、逆に言えば謙遜ではなくて傲りなんじゃないだろうか。僕は君に出して欲しいと願うよ。」と。
 それが起点になったとは思えないが、届け出を出した彼が今年、早くも一軍デビューを果たしたのは嬉しいニュースだった。

全国に比べると圧倒的に「恥ずかしがり屋」なのが沖縄。

「プロなんて。指名されなかったらかっこ悪い」というのはあったがそれも徐々に克服しつつなるのかなという感じを受ける。プロ野球球団の多くがキャンプに訪れるようになり、目の前で憧れのプロを見ることが出来、野球教室を通して触れ合う機会に恵まれてきた。幼い時のそのような衝撃はずっと残るもの。

 高校野球の話になるが2012年、夏の甲子園でベスト16入りした浦添商。その主力選手のうちの2人、照屋と宮里は小学校のときに、学童チーム(諸見スワローズ)の監督さんに連れられて高校野球の観戦に行った。そこで見た浦添商の野球に魅入られ、「浦添商に入って甲子園に出る」という目標を持ち続けてそれを見事やってのけたと言っていた。

 ましてやそれがプロの選手から手ほどきを受けたならどうだろう。野球王国、とまではいかなくてもそれに近い形が沖縄だとすると、プロのキャンプの影響は物凄く大きいだろう。

 そのプロへの第一歩がドラフト会議。今年は興南の宮城 大弥が注目されている。1位指名、もしくは2位で消えるだろう。筆者としては沖縄でキャンプを張り且つ、沖縄の選手がいない広島が指名してくれたら嬉しいのだが(笑)。その宮城と春の県大会準決勝で堂々と投げあった長身の金城 洸汰(北山)も志望届を提出。5、6位かもしくは育成での可能性は高いのではないか。

 上原 健太や大城卓三など全国に越境した子たちも、地元に残った子に負けられないとの思いで努力を続けてプロへの道を切り開いている。海に囲まれた島国沖縄だからこそ、大海に出てみたいという思いは他県よりも強い。それが高校野球や大学野球、社会人野球、プロ野球というステージで叶えられることを多くの野球選手が示してきた。これからも沖縄の野球熱が高まり続けてくれると信じている。

(取材・當山 雅通)

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