高校野球は102回目の夏を控える令和二年。一年に一回。夏の栄冠を勝ち取るための戦いも四元号目を迎えてますますの隆盛ぶりを見せ、近年では中学生で140キロを出したという話も全く珍しくない。高校野球のレベルの高さは今もって右肩上がりの最中であると断言できる。令和二年の夏もさらに盛り上がることは間違いないだろう。

 さて令和二年の広島県高校野球はすでに、どのチームも春先に行われる春の県大会に照準を合わせている。春から夏につながる重要な三か月。3年生はもちろんのこと、来年の新チームを担う1、2年生にとっても、これからの過ごし方が重要なのは言うまでもない。

総合力が抜きん出ている広島新庄、対抗馬となる広陵の戦力は?

広島新庄主将・下志音 

 令和二年の県下注目チームと言えば、やはり広島新庄だろう。去年の秋大会はまさしく横綱相撲の連続。チーム力の高さは他の集団から一歩抜けた印象がある。

 速球が売りの新3年生・秋田駿樹、柔らかな肘の使い方を見せて切れのあるボールで打者をきりきり舞いさせる秋山恭平(新2年)が君臨する投手力は県内随一。出場できるかは微妙だがセンバツで甲子園のマウンドを経験すれば、夏は一皮むけた姿を見せてくれるだろう。

 攻撃面では左打者をずらりと並べ、切れ目のない好打力を持つ。勝負強いクリーンナップの下志音(新3年)、野崎愛斗(新3年)、明光竜之介(新3年)が出塁した選手を返せるかが勝負の肝だ。秋県大会を制し、中国大会でも力を発揮したチームが春までどれだけの力を蓄えてくれるのか楽しみで仕方がない。

 二位集団筆頭として追いかけるのは秋4位の広陵。なんといっても甲子園経験者がいるのは大きい。一番を打つ宗山 塁、三番の渡部聖弥、秋は控えだったが将来が楽しみな新2年生三木太陽と打線の破壊力なら広島新庄にも引けを取らない豪快な打線を持つ。

 ただ、秋の県大会で尾道商に敗れたのはひとえに投手力だろう。藤井一嘉(新3年)、山川大輝(新3年)、松田波音(新2年)と速球派の投手はそろっているものの安定感が今一つ。淡白な印象が否めない。あと一歩の粘り強ささえあれば格段に違ってくるだけに覚醒が待たれる。春の大会でなにかを掴めるかが夏につながる重要なキーポイントになるはずだ。

 今年の広島は尾道、尾道商といった尾道勢もなかなかに面白い。特に尾道商は秋県大会準優勝で古豪ここにありと存在感を示してくれた。核弾頭として攻撃陣を引っ張った児仁井佑真(新3年)。大柄な体躯で、持ち前のパワーを生かしてアーチをかける松井健(新3年)とこちらも長打力のある選手に期待大。

 投手も本格派の元川惇太(新3年)、サイドハンドの卜部雄介(新3年)とバラエティ豊かでトーナメントを勝ち上がる力があると証明された。特に注目選手と先述した松井は決勝の大舞台で広島新庄の秋田に四打席連続三振と悔しい思いをしているだけに、夏でのリベンジを目標にしてほしい。

武田・広商・広など新鋭・古豪の躍進も見逃せない

広陵の注目野手・宗山塁

 その他の注目と言えば武田だろうか。去年秋一回戦、如水館相手に14対0の大差で勝利し、度肝を抜いた。2回戦で敗れたが、それでもこの一勝のインパクトは消えていない。

 夏のエースだった谷岡 颯太がオリックスの育成選手としてドラフト指名されたり、タブレットで練習を管理し効率を重視するやり方やSNS管理などが地元のメディアで取り上げられたりと話題に事欠かない高校ではあるが、少しずつ結果がついてきている。就任5年目の秋を迎える岡嵜雄介監督にとってはまさに勝負の年。今年こそ話題性とともに初の錦を飾れるか。

 去年の夏出場校の広島商も忘れてはならない。去年は充実した投手陣に真鍋 駿、花﨑成海などの大型内野手をそろえ、水も漏らさぬ守備とまさしく伝統校の誇りそのままに四元号目の甲子園に進んだ。

 秋は二回戦で姿を消してしまったが、エース候補である広島 智広(新3年)が独り立ちすれば上位進出もある。毎年恒例の広島広陵との定期戦を経て、冬を超えた選手たちの成長次第だ。

 ダークホースとしては広。呉市内にある公立校で、これまで上位進出も数えるほどしかないが、それでも昨夏は四回戦進出、秋もベスト16と結果は残している。秋は準優勝した尾道と対戦。児仁井、松井といった注目選手がそろう打線を三失点で切り抜けた。

 広の注目選手はマウンドを守る清水亮汰(新3年)。セットポジションから投げるサウスポーで、小粒だがまとまりがある。打線も小粒さは目立つが冬の練習でどこまで伸びたか楽しみな一校だ。

 注目校として、限られた高校しか紹介できなかったが、そのほかにも強打を誇る高陽東、秋広島新庄に一時5点差をつけた盈進。創部100年以上の伝統校広島国泰寺と躍進が期待されるチームはまだまだある。

 確かに現在のチーム力は広島新庄が一枚とびぬけてはいるだろう。だが、長い冬をどう過ごしたか、その間の密度はどのくらいのものか。過ごし方によって伸び方も変わってくる。

 各チームそれぞれがどのようなスローガンをもって冬を過ごし、前に進んできたのかを最初に披露するのは春の県大会だ。夏はまずそこから始まる。毎年のことだが、今年も球春の足音が待ち遠しい。

(文=編集部)


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