プロ注目左腕の中尾 純一朗(3年)に最速145㎞/h右腕の斎藤佳紳(3年)、高校通算34本塁打の主将・山口 竜平(3年)と投打に注目選手が揃う近大泉州。昨春には大阪桐蔭と対戦し、敗れはしたが、1対3と善戦した。

 7月18日に開幕する令和2年大阪府高等学校野球大会でも上位進出が期待されている。激戦区の中で存在感を示している彼らはどのようにして力をつけてきたのだろうか。

 後編となる今回は、府内指折りの打撃力を生み出した秘訣に迫り、また夏への意気込みについても伺った。

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1番から9番まで全員ホームランを打つようなチームを作る

ティーバッティングの様子

 この敗戦を機に、冬場は肉体改造を目指して筋力アップに取り組んだ。学校にあるウエイトトレーニングの器具をフル活用し、打撃の飛距離向上を図ってきた。その成果もあり、10㎏以上体重が増えた選手もいたという。

 また、パワーをつけるためにティーバッティングでは1.2㎏、フリー打撃では1㎏と試合で使うものよりも重いバットを使用している。
 「毎日、重いバットを振っていると、普通のバットに持ち替えた時に軽く感じて、スイングスピードが倍になったように感じます」と山口は重いバットで練習することの効果を実感している。こうした練習の成果もあり、清水監督は春以降の戦いに自信を見せていた。

 「一冬越えて、打球が凄く飛び始めましたね。1番から9番まで全員ホームランを打つようなチームを作るというのが僕の口癖でしたので、本当に変わったなと思います」

 しかし、その後に新型コロナウイルスの感染が拡大して、春季大会は中止になってしまう。「抽選までして、『ここからやるぞ!』という時だったので、ガッカリでしたね」と清水監督は落胆を隠せなかった。

 近大泉州は小高い丘の上にあり、周辺に民家は少ない。2、3年生の大半は寮生活をしており、他の生徒も最寄駅からスクールバスで通学してくる。こうした条件から三密になる恐れも少なく、4月上旬までは通常通り練習を行うことができていた。

 しかし、緊急事態宣言が出たことによって、寮にいる選手たちも全員が実家へと帰省。その期間も先述の通り、個々でしっかりと練習を詰んできた。

 「この冬で個々の能力は上がってきました。まだ全体のチーム力が欠けていると思うので、個々の能力をまとめるチーム力をこの1ヶ月で上げていきたいと思います」と山口は独自大会に向けての手応えと課題を語る。これからは実戦感覚を取り戻し、開幕までに組織力を高めていきたいところだ。

強いチームを倒す、そして最終的にはベスト4へ

清水監督を中心に円陣を組む様子

 残念ながら甲子園はなくなってしまったが、清水監督は夏を戦う姿勢は変わらないと話す。
 「甲子園大会があっても私たちは甲子園から遠いです。ウチの戦いとしてはいつもと一緒。強いチームを倒す、そして最終的にはベスト4に入る。この目標は何も変わらないです」

 参加校の多い大阪大会は甲子園に行くために7〜8勝する必要がある。さらに大阪桐蔭や履正社といった全国トップクラスの強豪を続けて倒すのはそう簡単ではない。しかし、一発勝負ならどんなに強い相手でも勝てる可能性はあると清水監督は考えている。

 強いチームを倒すのが近大泉州の一番のモチベーションだ。昨春に大阪桐蔭と対戦することが決まった時にはティーバッティングを2時間半もひたすら打ち続けたという。やると決めたら、とことんやり切るのがこのチームのモットーだ。

 「ウチの子たちは目指すものがあるので、努力を惜しまない。高校野球で終わる子は負けた時点で到達だと思いますし、上で野球をする子はもっと先にあります。全部が過程なんですよ。だから、練習で自分に妥協しない。その点に関して、ウチの子たちは大したものだと思いますね」

 甲子園がなくなっても、最後まで高校野球を全うしようとする近大泉州の選手たち。最後の夏に周囲をアッと言わせる大躍進を見せてくれそうな予感がする。

(取材=馬場 遼)


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