7月4日から開幕する2020年 夏季愛知県高等学校野球大会。昨秋の日本一・中京大中京をはじめとした、球国愛知にふさわしい強豪校が揃い踏みの激戦区で躍進を狙う新鋭・豊野。

 初戦は大会2日目になる、5日に岡崎市民球場で豊田と対戦。同じ西三河地区相手にどのような試合を繰り広げるのか。その戦いぶりに注目をしたいが、今大会のカギを握る中森 由貴と大脇 快斗の2年生コンビを紹介したい。

新鋭・豊野が誇る2人の速球派2年生投手

大脇快斗と中森由貴

 中森は最速139キロ、そして大脇は141キロを計測しており、どちらも2年生ながらチーム屈指の速球派投手として大会での活躍が期待される。指揮官の松井優監督に2人について聞くと、別々のタイプだと分析する。

 「中森は練習中に指導者から教わったことを自分なりに考えて、疑問点はとことん質問をしてくる。そして他の人にも説明が出来るようになるまで理解して練習に打ち込む。コツコツ努力して積み上げて成長をしてきた選手です。
 大脇も努力家ですが、生まれ持った高いポテンシャルを秘めた選手ですので、確実に練習をやればどんどん伸びていくタイプです。だからあまり教え込ませて型にはめようするのではなく、練習環境だけを与えて伸び伸びやらせているところです」

 中森はストレートの回転がジャイロ回転だったところを、綺麗なバックスピンをかけるべく、キックバックという動作を取り入れた。大谷 翔平(花巻東出身)が軸足を引く動作を中森も実践したことで、身体を縦に使えるように修正。

 さらに左腕を巻き込むように引くのではなく、体の後ろまで引きこむことを意識。上原浩治(東海大仰星出身)のような左腕の使い方をすることで、より身体を縦に使えるようにした。こうすることで、バックスピンをかけられるようになり、休校前から5キロ近く伸ばし、最速139キロまでスピードが上がった。

 一方で大脇は野手として最初は活躍。1年生ながら4番を任せられる潜在能力の高さを見込んで、冬場から投手にも挑戦。初めてマウンドに立っていきなり130キロ近くを計測するなど、松井監督も「天才のタイプ」だという大脇。

 その高いセンスを最大限生かせるように、細かな指導をせずにとにかく思い切り腕を振って速い球を投げるように個性を伸ばし続け、大脇も休校前から5キロ近く球速を伸ばして140キロの大台に到達した。

 元々中森、大脇ともに中学野球部の引退後に結成された豊田・みよし市地区選抜チームに選ばれた選手。中森は当時外野手として出場。そして大脇は4番に座り県大会でベスト4に進出するような選手だった。

 2人とも持っている能力が高く、なおかつ練習1つ1つに対して考えて取り組む姿勢がある。その姿勢が2人の140キロ到達に最も大きかったと松井監督は考えている。

 「チームが全体的に自粛期間を経てレベルアップをしましたが、2人が一番典型的な成長した選手です。毎朝のzoomでのチームミーティングで自主練習の報告をしてもらう時、2人とも毎回考えて自分に必要なメニューを必要なだけ取り組んでいました。2人が上手く自分と向き合って成長をしてくれたことで、考えて練習をやる選手が結果を残すことを140キロという数字で証明してくれました」

 松井監督は今回の自粛で、私立の選手と差を埋めるチャンスだと考えていた。また豊野は普段から選手自ら考えることを大事にしてきたことを自粛期間中も継続し、選手たちそれぞれに練習メニューを考えさせ任せていた。加えて毎朝Zoomを使ったミーティングをして、コミュニケーションを取ってきた。

 そうした環境が2人を140キロの大台に乗せる後押しになった。あとはライバルたちとの戦いでどれほどの力がついたのか。どれだけ差があるのか、これまでの成果を発揮して確認するのみ。

 7月5日から始まる夏季愛知県高等学校野球大会で、旋風を巻き起こせるか。大脇、中森の2年生コンビの活躍から目が離せない。

(取材=編集部)

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