九州大会でベスト4に入った創成館や昨年の茨城国体に出場した海星などがひしめく長崎県。その名が先で強打を武器に秋の県大会でベスト4まで勝ち上がったのが大村工。夏は1回戦で姿を消したが、秋に結果を残し県内に存在感を示した。

 その大村工をバットで牽引するのが作本 想真だ。身長188センチ86キロの大柄な体格から長打を放ち、12日の試合までで高校通算は32本塁打と同世代の中でも屈指の数字だ。さらに投げては140キロを投げる肩の強さを持っている作本はいかにして誕生したのか。そのルーツに迫る。

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長崎に現れた高校通算32本塁打の長距離砲・作本想真(大村工)!ブンブン丸と呼ばれた悔しい時期を乗り越えて【前編】

タイミングが取り方をマスターするまで

作本想真(大村工)

 好不調の波は1年間続き、なかなかコンスタントに結果を残すことが出来なかった作本。4番として打線の中軸を担いながらも、悔しさを感じながら練習を重ねてきた。そして、2年生の夏の時には4番から1番に繰り上がり、チームの核弾頭としての役割を担うも、初戦の壱岐に0対4で敗れる。

 最上級生となった新チームで作本はポイントの重要性に気づく。
 「新チームが始まるまではホームランは8本くらいだったんですけど、とにかくしっかりタイミングを合わせて、自分のポイントで打つことを大事にし始めました。そうしたらホームランを打てるようになりましたが、ポイントが前過ぎでも差し込まれてもダメなので、探すのは苦労しました」

 自分の間合いを探すべく、作本はトスバッティングの取り組み方を大事にした。
 「トスバッティングからタイミングの取り方を練習して、ピッチャーの体重移動に合わせて、浮かせておいた右足の踵を下ろすことでタイミングを計って打つようにしました」

 これは現役時代に甲子園を経験し、四国学院大硬式野球部の監督も経験している野球解説者・山中晴司氏による指導とのことだが、これによって作本のバッティングは激変。3試合に1本のホームランを打つ量産体制に突入。

 さらにティーバッティングやフリーバッティングの取り組み方の変化も、作本の急成長を促した。
 「ティーバッティングといっても、トップの位置を作るためのメニューなどいくつか種類がありまして、それを取り組んだこと。そしてフリーバッティングでも遠くに飛ばすのではなく、同じ場所に打ち続けることをイメージしてやっていました」

 同じ場所に打つためにはポイントを同じにしなければならない。作本は飛ばすことよりも、同じ場所に打ち続けることを大事にしたことで自分のポイントを見つけ出した。これが量産態勢に入る大きな要因となった。

チームのためにチャンスで結果残す

作本想真(大村工) 

 昨秋の大会でチームはベスト4進出。作本も高校通算28本まで積み重ね、県内に存在感を示した。注目を浴びる中で作本はオフシーズン中、「センター方向へホームランを打てるようになる」ことを目標に掲げて練習に打ち込んだ。

 「秋まではレフト方向ばかりでしたが、引っ張ってホームランを打てる選手は全国を見れば沢山いると思うんです。だから、センターにホームラン打てる選手が本当にいい打者だと考えて、トレーニングや素振りはやりました」

 しかし新型コロナウイルスの影響で活動は自粛。作本は素振りやトレーニングといった自宅で出来る練習をメインにしながら、トスバッティングも100〜200球打ち込み、課題だったタイミングの取り方の改善に努めてきた。

 またピッチャーとしても夏に登板できるよう、走り込みにも力を注ぎ、身体を絞って練習再開を待った作本。しかし5月20日に夏の甲子園は中止となり、地方大会も中止となった。その時は、「大会が無くなったことを聞いたときは少しチームの雰囲気は悪くなりました」とチームには大きなダメージを与えた。

 だが5月22日、長崎県高校野球連盟は独自大会を開催することを発表した。それを聞いた作本は、「長崎の頂点は取りたいという想いは強くなってきた」と優勝を見据えて練習に取り組むようになっている。

 現在は変化球へのタイミングの取り方、そして持ち味である大きなスイングを忘れないことを課題にして練習をしている作本。最後に独自大会への意気込みを語ってもらった。

 「自分の前にチャンスを作ってくれると思うので、1試合1試合に集中して、『もうないんだ』と思ってしっかり得点を重ねていきたいと思います。自分の結果よりもチームの結果を優先したいと思います。それで優勝した時に、初めて甲子園がないことで涙を流したいと思います。」

 高比良俊作監督は「体が絞れて、キレが出てきている」と作本の現在の状態を語る。1年前までは8本塁打だった作本だが、急成長を遂げて32本塁打まで積み重ねてきた。その実力を最後の大会で遺憾なく発揮すれば、長崎の頂点も見えてくれるのではないだろうか。

(取材=栗崎 祐太朗/文=編集部)

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