画像は旧広島市民球場が現存するころの広島平和公園と原爆慰霊碑(広スタ特命取材班撮影)

 

 

プロ野球の広島はあす8月7日、マツダスタジアムでの阪神戦を「ピースナイター2020」として開催する。

1945年8月8日のワシントン・ポスト紙に「4分の3世紀近く広島には草木も生えない」という談話が掲載された。原爆製造のマンハッタン計画に関わった専門家の言葉だ。

きょう8月6日、広島は緑の中で75年めの夏を迎えた。

「ピースナイター」は旧広島市民球場時代から続く。7日には、各イニング間で広島県知事や広島市長の平和メッセージも流される。

広島ならでは、だ。



ところで広島球団は過去、何度、原爆慰霊碑に献花したのだろうか?

1980年代後半からひろスタ特命取材班は広島スポーツを取材してきた。だが、未だに「カープナインが献花」という記事を書いたことがない。

リーグ3連覇で平和大通りパレードはあっても、原爆慰霊碑はスルーされた。近いところではマエケンがメジャーリーグの関係者とともに、2018日米野球の際に献花に訪れている。サンフレッチェ広島は、機会があるごとに選手も参加して献花している。

広島球団の70周年でもある今年、さすがに献花するものだとばかり思っていたが…



今季、佐々岡監督率いる新体制のチームがマツダスタジアムでからっしき勝てないのは、マツダスタジアムの野球の神様を怒らせたからではないか?と広スタ特命取材班では考える。年間指定席購入者しかチケットが届かないまま8月6日を迎えたからだ。

だが神宮球場にも見えない力は存在する。

ヤクルトがこの日、序盤3回で5対0とリードする展開でも、広島打線はホームラン攻勢で反撃開始。七回には鈴木誠が適時打して試合は振り出しに戻った。

ところがその裏、ヤクルト先頭の西田の打球は、名手鈴木誠の目の前であり得ない高さに跳ね上がり、カバーにきていたセンター長野の頭上も越えて転がった。三塁打。そのあと犠飛、ヒット、送りバント、二塁打2本でヤクルトは3点を奪い、ヤクルトは晴れて連敗脱出に成功したのである。

なぜ、あれほど不自然なバウンドが…???

その答えはヤクルト高津監督の言葉の中にある。



「広島戦、広島人以上に僕自身も思い入れがありまして。父の命日なので…」

旧広島市民球場で「コージや衣笠」を応援して育った高津監督は、今のマツダスタジアムからも見渡せる段原地区が遊び場だった。

原爆投下の際、平和大通りの東の端にある比治山の影になり、昭和の時代がそのまま長らく”保存”されたエリアだ。そこを南へ抜けると高津監督の母校の広島工がある。

高津監督は、今もその界隈の焼肉店で知人らと会食するなど広島人としての時間を持ちつつ東京で監督業に専念している。

しかも8月6日は父・年明さんの命日だ。ヤクルトナインがこの日、青木を筆頭に打って、守って、走って、投げて歯を食いしばったのも合点がいく。

七回にヤクルトに3点を献上したのは4番手の薮田だったが、送りバント以外のアウトも含めて打球は快音とともに全部外野に飛んだ。



その時点でベンチには結果的に八回を投げたジョンソンのほかに左の塹江と高橋樹が残っていた。塹江を使えば3連投になるが、今の勢いならそれも可能。九回は左打者が並ぶ上位打線から。そこに塹江、八回がDJ・ジョンソンという選択肢もあった。

薮田もまた広島生まれ、広島育ち。小学生、中学生のころから必ず平和教育を受け、8・6に対する思いは強いはずだ。

だが、だからといって、無理に8・6に投げる必要はない。



2015年8月6日。

緒方監督の1年め。マツダスタジアム恒例のピースナイターで先発したのは薮田だった。原爆投下から節目の70年。プロ入り5試合めで初の本拠地デビュー戦となり、結果は6回4失点。

実はそれまで薮田はこの年、水曜日に先発していた。それを前の週で唐突感満載の今井を水曜日の先発に使い、薮田を木曜にシフトした。この年も8月6日は木曜だった。

この時、薮田はブログにこう記している。

「今後は8月6日の試合から変わった言われるようなピッチングをしたいと思います」



薮田はしかし、2018年8月、インスタグラムに次のように書き込んだ。

「I think that this is a pitcher. Baseball is a game to compete for a score.Both the hit and the base on balls are the same.However, “a base on balls, a base on balls”Look in silence!」

ヒットも四球も一緒、とある、四球連発でいろいろ言われていたから、そうなったのだろう。このあと「日本人はセレブにリスペクトがない」とも書いている。

当然、カープファンによりネット上では騒然となった。

過去にも広島の選手の中には似たような?騒動を起こし球団が厳重注意したことがある。

薮田の場合はそのあとのことは報じられず、厳重注意があったかどうかさえ分からない。

広島という球団は、あれっ?と思うようなスルーを定期的に繰り返す。



例えば昨夏のバティスタのドーピング陽性反応事件などはファンに向けても大きな責任を負っていたはずだが、けっきょく何がどう悪かったのか、よくわからないまま話は終わった。ついでに言えばその代わりに採用したピレラもまた戦力になるかどうか微妙、となっている。

つい最近ではリーグ3連覇の立役者だったジャクソンが広島県警に逮捕された(嫌疑不十分で不起訴)が、とうとう一度も関連コメントは出なかった。

佐々岡監督に関して、ひろスポ!には「僕らの真ちゃん(金城町ではこう言われてるみたい)は優し過ぎる」などのファンの声も届いているが、それだけが最下位争いをする原因だとは考えにくい。

付け加えるなら高校を卒業して単身、広島にやってきたところから第2の人生がスタートした佐々岡監督もまた、高津監督と同じ広島人だ。

それに「優しい」だけではないし、厳しさもガッツも持ちあわせているというのが周囲の声。そうでなけば、あれだけたくさん負けながらも100勝100セーブとはならない。



最後に、かつて巨人に行った丸が広島時代、8月6日のイベントに参加する際に「カープはどんな存在ですか?」とメディアに聞かれ「広島そのものです」と迷わず応えていた姿が忘れられない。

チームリーダーがいないと、いくら有能な指揮官でもなかなか勝てない。余計な横やりが入ってくるようだとなおさら、である。

佐々岡監督は試合後「「3人(ジョンソンのあとを繋いだケムナ、菊池保、島内)は役割を果たしてくれたが…」としか言わなかった。その先は”聖域”となっているから、だろう。

ひろスタ特命取材班