ガラスに写るトップの位置を確認する鈴木誠也(トップ画像)

 

沖縄でキャンプ中の広島は2月25日、最終第6クールへ入った。

広島の今キャンプでの話題のひとつが鈴木誠也の打法の変化。そして打順。

ここでは詳細は省くが鈴木誠也はキャンプで対外試合三番に固定され開幕してもそうなりそう。未知数の新外国人クロンが四番を打たなくてもこの方針は不変。

昨年12月の契約更改のあとも鈴木誠也は「自分は三番」と言い切っている。

鈴木誠也は出塁率が高い。昨季の・409もヤクルト村上(・427)、青木(・424)に次いでリーグ3位。そのあとにはDeNAの佐野、梶谷と続く。いずれも左打者だ。

OPSも左打者が上位を占めるなか、鈴木誠也の・953はやはり村上、青木に次ぐ3位だった。

リーグ3連覇のあと2シーズン足踏みの続く広島は得点力アップのために鈴木誠也の出塁と打点の両能力を最大限に活用する。

本人も「チームの勝利」のためにそれがベストチョイスだと分かっている。

だから昨季、途中から打席での内容が変わってきた。実際、シーズンの終わりには四球が増えた。その一方でスイング軌道がアッパー気味になった。

モデルとなっているのはロサンゼルス・エンゼルス大谷翔平のチームメイトでメジャー最強スラッガーのマイク・トラウトだ。

ゆえにキャンプからは左足の上げ方もトラウトに模した形になった。

トラウトはメジャー10シーズンで302ホーマー、打率・304。出塁率も110四球以上のシーズンが4度あり・418。10年間平均のOPSが・1000、とにわかに信じがたい数字が並んでいる。

トラウト本人が生命線とする左足のステップでは膝を開く。開けばそれだけ投手側に体重の一部が持って行かれそうになる。同時にグリップの位置はキャッチャー側に大きく引かれて弓矢を射る形ができる。この時、地面に杭を打ち込んだような右足とグリップを結ぶ体側右側の軸で引っ張り「割れ」の形を作る。左足着地の時点で動作はスイングに切り替わる。

ここで鈴木誠也が今オフ、鳥取市のワールドウィングでトレーニングを重ねた「初動負荷理論」の出番となる。

この「理論」では伸びた筋肉が元に戻る瞬間のパワーの生み出し方に焦点が当てられる。100キロ、200キロのバーベルを上げるトレーニングとはまったく狙いが異なる。

ヘッドの軌道はトラウト打法だから当然「インサイドアウトスイング」の平面上に乗る。ボールをより近くまで呼び込み、打球はセンターから右方向。変化球なら引っ張れる。

北谷で中日の清水から放った右越えソロはこうしたイメージによるものだろう。

鈴木誠也はかねてから巨人・坂本やソフトバンク・柳田のスイング軌道に注目していた。坂本の打ち方は少年野球では良し、とはされていない。その奥深さはなかなか適切には表現できない。柳田もいつもではないけれども「かち上げる」が代名詞、しかも高打率だ。

トラウトのようにスイングすれば投球の軌道に合わせるバットの”面”が使えるから空振りが減りファウルが増えるはず。それが出塁率アップにも繋がる。

昨季、最終戦で打率3割に乗せた鈴木誠也だが、シーズンを通して見ていくと左方向への打球が2019年の39パーセントから49パ―セントに増えていた。右方向への本塁打は25本の中で開幕第2戦で放った1本だけ…。

朝山打撃コーチら首脳陣も、キャプテンに指名した鈴木誠也は投の柱の大瀬良とともにチームの牽引役として期待するとともに、個人の技量については本人の気持ちを最大限尊重している。

当面の課題はトラウト打法がキレやスピードの増してくるオープン戦での相手投手の真っすぐをどうとらえるか?

打球の方向と打球の質が大きく変わるはずの2021年シーズン、最終的にどんな数字が残るだろうか…

※さらに詳しいカープ情報は携帯サイト「田辺一球広島魂」で。田辺一球、スマホ、で検索!