大河「西郷どん」で鶴瓶が見せる“新たな岩倉具視像”

大河「西郷どん」で鶴瓶が見せる“新たな岩倉具視像”

 落語家の笑福亭鶴瓶(66)が、俳優・鈴木亮平(35)主演のNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」(日曜・後8時)に明治維新に尽力した公卿出身の政治家・岩倉具視役で、12日の放送分から本格的に登場する。制作統括の櫻井賢氏が、このほど取材に応じ、起用理由や“役者・鶴瓶”の魅力を語った。

 下級公家でありながら、強い反骨精神と行動力で朝廷を動かし、薩摩藩の西郷隆盛や大久保利通らと協力して倒幕を目指し、明治維新に貢献した岩倉具視。本作で、一見、公家のイメージと乖離した鶴瓶を起用した背景には、脚本を担当する中園ミホ氏(59)の強い意向があったという。

 「侍とは違う価値観の傑物を表現するのにふさわしく、人間の表裏を見てきたような人は誰か。中園さんが初期の段階で『鶴瓶さんみたいな人』という直感が働いた。目の奧が笑っていない(鶴瓶)師匠が相応しいのではと」

 今月上旬、同局内で行われた鶴瓶が登場する第30回「怪人 岩倉具視」の試写会。劇中の岩倉が発する言葉は、なんと鶴瓶本人が話すような“大阪弁”風。立ち居振る舞いも、これまでに見たことがない「岩倉具視」だった。

 「公家と聞くと、お行儀が良いと思われていますけど、岩倉は最下級から孝明天皇の側近まで上り詰めた人物。逆境の人で、根っこにあるのは反骨精神。師匠の持っている人の懐に入っていく強さ、瞬発力がうまく役に乗り移り、そういう底力を表現されている。ここまで、公家言葉がフランクだったかは分かりませんが…(笑い)。西郷、大久保と違うタイプの岩倉という人物の新たな魅力を知っていただけると思う」

 番組では京言葉の指導者が付き、京言葉を反映させた台本を作成。鶴瓶は、その台本にアドリブを加えながら演じているというのだ。

 「意味を捉えながら、その時出た感情で、言い回しが変わっているところはある。伝えたくなると、自分でその意味をプラスして、話されている。師匠のアドリブが加わっているところはあります」

 鶴瓶は、テレビで複数のレギュラー番組を持つ人気タレントである一方で、上方落語協会副会長を務めた落語界の重鎮。さらに俳優として、映画「おとうと」、「ディア・ドクター」の2作品で主演男優賞を受賞した。活躍の場を広げ続ける鶴瓶の魅力は、一体どこにあるのだろうか。

 「師匠は収録の間、こんなに力が抜けていていいのかなと思うほど、ずっと面白い話をしている。でも本番に入ると、グワっとすごい表情をされる。説得力のある方法で人間の奥底知れない何かを表現をされる。人間の深みを知ってらっしゃるのでしょう」

 岩倉は公武合体を唱え、王政復古を画策。新政権樹立後には参与・大納言等を歴任し、廃藩置県を断行した。右大臣として条約改正交渉と米欧視察のため特命全権大使として外国を巡回。憲法制定の基本方針を定めた。ドラマでも新政府のキーパーソンとして、終盤まで活躍するという。(江畑 康二郎)


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