休演中の宝塚歌劇の再開を待っているのは、女性ファンだけではない。「オトコだって、宝塚が好き!」。今回は熱烈な男性ファンを代表して、世界の盗塁王・福本豊さん(72)=スポーツ報知野球評論家=に、男の目線から見る“乙女の園”の魅力を聞き、タカラヅカ未経験の男性読者に向けて、楽しみ方を教えてもらった。(構成・筒井 政也)

【スポーツ報知評論家・福本豊さん】

 元阪急ブレーブスで、経営母体が歌劇団と同じだった福本さんだが、観劇歴はここ十数年ほど。瀬奈じゅんの月組時代に夫人のタカラヅカ熱が再燃し、お供としてついていった。

 「最初は分からへんし、眠たいし(笑い)。客も女の人ばかりで照れくさく、恥ずかしいと思っていたけど、同じ公演を数回見ると、だんだん分かってきて『ええな』って。男役はカッコええ。男にはできない格好やし、ピシッとしててね」

 次第に照れは消え、今では年間80〜90回、劇場に足を運び、親交のあるOGも。「芝居でも目がさえてくるようなものがある。ショーは華やかやし、和物もきれい。『夢の世界』ちゃいますか。未経験者は1回、見た方がいい、生で。次も、と思うはず。初めての人専用の公演とかあったらいいのにね」と強く勧める。

 学びの場でもある。「赤十字誕生の『ソルフェリーノの夜明け』(2010年、雪組)は泣いたなあ。赤十字のことなんか全然知らんかったし。フランスものではルイ14世が何をしたとか、歴史の勉強になります。野球しかしていなかったからね」。宝塚の美学を楽しみながら、知識も増えるのだ。

 ひいきのスターは雪組トップ・望海風斗(のぞみ・ふうと)。「全部うまい。オーラがあり、出てきたら場の空気が変わる。4番打者の風格。どしっとしてますね」。宝塚も野球もチームプレーであり、選手や生徒が育つ過程を楽しむ点でも共通しているという。「ジェンヌはプロですよ。けがをしても、周りには隠して出る子もいるらしい。野球選手やったら『ちょっと違和感が…』と言うて休むよ。目標に近づくため努力するのは一緒やけど、野球の方が楽。今はお稽古も早く終わるみたいやけど、まだまだ厳しさが残っている。精神力が強い」と“アスリート”として感嘆する。

 その宝塚も来月17日に宝塚大劇場花組公演で約4か月ぶりに再開する。「やっと舞台に立てる、やっとできる。『宝塚に入りたい』と思っていた初心を思い出すのでは。気合が入り過ぎて、空回りしないようにね」とエールを送った。

 ◆福本 豊(ふくもと・ゆたか)1947年11月7日、大阪市生野区生まれ。72歳。大鉄高、松下電器を経て、68年、阪急にドラフト7位で入団。70〜82年に13年連続で盗塁王を獲得。83年にMLB記録を上回る通算939盗塁をマークして“世界の盗塁王”に。88年に引退するまで通算1065盗塁、2543安打(208本塁打)で名球会入り。02年、野球殿堂入り。身長169センチ。