「Dreams Universe(ドリームズユニバース)」がすごすぎる。その一点を伝えたくてペンを執る。2月14日にプレイステーション4で発売された同作は、様々なゲームを自在に作れる、全く新しいコンテンツ開発ツールだ。2D、3D問わず、キャラクターも音楽もすべて思いのままに創作が可能で、ネットを通じて世界に公開もできる。昨年4月にアーリーアクセス(先行発売)版がリリースされており、既にコミュニティ上には世界中で制作された数多くの優れた作品が集結。そのアイディアには驚かされるばかりだ。

 本作を7年の時間をかけて開発したメディアモレキュール(MM)社は、PS3時代の2008年にアクションゲーム「リトルビッグプラネット」を制作した英国の開発会社。ステージを自由にデザインできることで話題になった作品だが、今度はゲームそのものをイチから作れる夢のツールを作ってしまった。

 難しいプログラミング言語はいらない。丁寧なチュートリアルに沿っていけば、ツールの使い方やアートの基礎まで、コントローラーひとつで視覚的に学べる。ただし、かなり本格的なゲーム制作ツールなので、カンタン手軽に…とはいかない。できることが多すぎるので、最初は戸惑うかもしれない。まずは世界中のクリエイターが作った作品群をプレーすることで、創作のコツをつかむといいかもしれない。

 「ドリームサーフィン」と名付けられた作品巡回システムを立ち上げるとパズルやホラーミステリー、RPG、恋愛シミュレーションなど、あらゆるジャンルのゲームがずらりと並ぶ。信じられないが、これらはすべて「Dreams Universe」で作られたものだ。中には音楽だけの出展や、画像だけのアート作品、短編映画のような映像作品も。これらの中には改変自由なものもある。自分の作業スペースに持ち込んで、キャラクターだけオリジナルのものに差し替えたり、音楽や風景を変えるなどしながら想像力を膨らませていくのが第一歩だ。

 どんな作品が作れるのか。例として先程「ドリームサーフィン」で見つけたいくつかの作品を挙げてみたい。

・「アートの夢」…MM社が“お手本”として制作した長尺作品。ジャズバンドを脱退したコントラバス奏者が見る夢の世界とは。シュールなストーリーにジャンプアクション、パズル、ミュージカルなどあらゆる要素を詰め込んでいて、ゲーム制作の参考になる。

・「Ruckus」…巨大な怪獣を操作して街を破壊する爽快アクション。しっぽを振り回したり、口からビームを放ったりといった激しい動きのバリエーションを学べる。暴れるのは痛快だが、いきなり衝撃のラストで幕を閉じる。

・「A Greasy Meal」…ホットドッグとフライドポテトをリアルに描いたアート作品。ゲームとして遊べるわけではないが、「ほとんど実写」「こんな絵も描けるのか」とネットで話題に。

・「赤鬼」…某激ムズアクションに似た3Dチャンバラ活劇。相手の攻撃に剣を合わせる防御や一瞬の回避が勝負のカギ。

 こうした優れた作品群を見てしまうと、気圧されて制作意欲が折れる部分もある。それでもいい。世界中のクリエイターが次々に繰り出す作品をただプレーするのも本作の楽しみ方の一つだ。正式発売となり、これからさらに数多くの才能がここから飛び出してくるだろう。ゲーム制作を志す人は、無限の可能性を秘めた本作を使って傑作を生み出し、世界デビューを果たしてほしい。筆者ですか? 私はプレー専門でいいです(←心が折れた人)。

 ◆「Dreams Universe」(ソニー・インタラクティブ・エンタテインメント)PS4用、2月14日発売、パッケージ版4980円+税、ダウンロード版5390円(税込み)