自民党の石破茂元幹事長が22日、自身のブログを更新し、新聞記者との賭けマージャンで辞職した東京高検の黒川弘務検事長が訓告処分となったことへ見解をつづった。

 石破氏はブログで「週刊誌の報道により、黒川検事長の辞任・訓告処分という事態となり、世の中では黒川氏の処分が軽いことに対する批判が強まり、首相官邸は稲田検事総長の監督責任を問う形で引責辞任を求めるという大混乱の状態になりつつあります。このままでは政治に対する不信は高まるばかりです。正直言って『もういい加減にしてもらいたい』との思いが募ります」とつづった。

 さらに「賭博罪(刑法第185条) 第百八十五条 賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない」。「『一時の娯楽に供する物』とは、その場で飲食する飲食物、煙草などが挙げられます。金銭はその多寡にかかわらず許されないとされています(大審院判例・大正13年2月9日)」。「常習賭博罪(刑法第186条第1項)常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する」と法律と判定を引用した上で、「賭博の常習者とは、賭博行為を反復・継続して行う習癖を有する者をいい、刑法典の中で唯一の常習犯規定であり、身分犯です。氏が『常習者』に該当するかどうかはわかりませんが、報道が仮に事実とすれば少なくとも単純賭博罪に当たることは間違いないでしょう。1998年、漫画家の蛭子能収氏が新宿の麻雀店で賭け麻雀中に現行犯逮捕・書類送検された事件もありました。法務省の処分も、国家公務員法に定められた『戒告』ではなく、非公式な『訓告』(訓告が3回続くと戒告相当となる)で済むというのはどういう判断基準に基づくものなのか、私にはよく理解が出来ません」とつづった。

 その上で「私が当選2回の1992(平成4)年、東京佐川急便からの5億円の供与が発覚した金丸信自民党副総裁は、これを認めて副総裁を辞任、東京地検特捜部は金丸氏を政治資金規正法違反で略式起訴し、罰金20万円の略式命令を受けることになったのですが、あまりに軽い処分に世論は猛反発、検察庁の表札にペンキがかけられるという事態となり、現職札幌高等検察庁検事長の佐藤道夫氏(後に参議院議員)が新聞に批判の投稿をしたことも話題となりました。翌年、東京地検特捜部は既に議員を辞職していた金丸氏を相続税法違反容疑で逮捕、家宅捜索が行われて数十億円の蓄財が見つかります。事案の性格は全く異なりますが、世論と検察内部からの批判という点では類似しています」とし「黒川氏が定年を延長されたのは、黒川氏がいなくては進まない捜査案件があったから、ということだったはずで、今回の辞任によってそれは一体どうなるのでしょう。捜査は進まず、国民にとって大きな不利益が生ずることになるはずなのですが、そのリスクはどのようにして回避されるのか。黒川氏がいなくとも捜査は進展するというのなら、何故定年は延長されたのか」と疑問を投げかけた。

 さらに安倍総理は先週、「『検察庁法の改正は全て法務省の考えであって官邸は全く関与していない』と述べられました。であるならば法務省は、昨年秋の検察庁法改正案には全く入っていなかった『公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める事由があると認めるとき』との規定をなぜ突然今回の改正案に入れたのか、明確に説明する責任があります」と記した。

 続けて「検察官は、刑事訴訟法により、唯一の公訴提起機関として規定されており、検察官の職務執行の公正なりや否やは、直接刑事裁判の結果に重大な影響を及ぼす。このような職責の特殊性に鑑み、従来検察官については、一般行政官と異なり、裁判官に準ずる身分の保証と待遇をあたえられており、国家公務員法施行後といえども、この検察官の特殊性は何ら変わることなく、その任免については一般の国家公務員とはおのずからその取扱いを異にすべきものである」(昭和24年5月11日・高橋一郎法務庁検務局長答弁)を引用し「この国会答弁を閣議決定で覆すこと自体、立憲主義(憲法そのものではありませんが憲法秩序という意味で)と民主主義(多数を恃むという意味で)との抵触の一場面でもあるように思われます。検察庁法の改正案は撤回されたのではなく、国家公務員法改正案とセットの『併せ法案』として秋に予定される臨時国会で審議されると報じられています。国家公務員法と並んで検察官の定年を延長すること自体は妥当なものですが、次長検事・検事長などの高位の検察官は63歳で一般の(ヒラの)検事に戻り65歳で定年となるが、内閣が特に認めた場合はヒラに戻ることなく高位に留まったままで最長2年務めることが出来る、という規定については再考が必要です」と提言した。

 続けて「稲田検事総長の辞任を首相官邸が求めている、とも報ぜられていますが、検事総長の定年は65歳であり、退官を強制することは出来ないはずで、誰がどのような思惑でそう言っているのか全く分かりません。一方で、制度的担保として、検察の独走や暴走を抑止する仕組みを考えておくことも必要だと思います」と記した。

 その上で「現在の我が国において、自衛隊によるクーデターを阻止するものは、自衛官諸官の個人的な高い見識のみです。本来、ここにも立法・行政・司法それぞれの機能からの厳格な文民統制の仕組みを、憲法上規定すべきものです。これにも似て、検察庁が行政権から一定程度独立すべきとしても、その独走・暴走を阻止するものが検察官個々の見識と正義感のみ、というのは、危ういことのように思われます」と今回の問題への見解をつづっていた。