柔道の東京五輪代表選考会の一つ、グランドスラム(GS)パリ大会の男子100キロ超級3回戦で、五輪2連覇中のテディ・リネール(フランス)から大金星を挙げた影浦心(24)=日本中央競馬会=が11日、成田空港に帰国した。1月1日に1歳下の一般女性と結婚したことを公表。左手薬指に“ゴールドカラー”の結婚指輪を輝かせ、五輪代表入り&金メダルを誓った。

 柔道界で一躍、時の人となり帰国した影浦は、多くの報道陣を前に笑みがこぼれた。10年にわたるリネールの国際大会連勝を154で止めた大金星を思い返し「ずっとリネール選手を目標にしてきた。倒すことができて本当に夢のよう」と喜んだ。決勝では敗れたが、「倒したのは、優勝より大きい。五輪に出て、もう一回リネール選手を倒して五輪王者になりたい。その思いだけ」と“再現”を誓った。

 五輪にかけるのは、自分のためだけではない。この日、中学時代から知る1歳下の一般女性と1月1日に結婚したことを公表した。今回の遠征出発前に新妻から「結果はどうあれ、心が後悔しないように楽しんで柔道してきて」とエールを送られたことを明かすと、「背中を押してくれた」と、鼻に手を当て、照れながら話した。左手薬指に光らせたのはゴールドカラーの結婚指輪。五輪イヤー幕開け日に結婚することと、指輪をこの色に選んだのは、ともに「五輪で金メダルを取るため」という決意の表れだった。

 16年リオ五輪銀メダリストで、東京五輪代表争い一番手の原沢久喜(27)が出場するGSデュッセルドルフ大会(21〜23日)後に代表が決まる可能性もあり、今大会は重要だった。昨年10月のGSブラジリア大会では敗れたリネール撃破のため、対戦前日まで映像を見て研究してきた。勝利の瞬間、コーチ席で立ち上がって喜びを爆発させた男子日本代表の井上康生監督(41)は、「彼の努力の結晶。リネール選手に勝ったのは重量級の選考において見ているポイント。(リネールとの相性も)いい」と評価した。

 「(リネールを破って)歴史に名を刻み、自信になった」と手応えをつかんだ影浦。近年の実績から、原沢を追う立場に変わりはないとみられるが、「結果を待つだけ」と、逆転代表入りへの思いを口にした。(宮下 京香)

 ◆柔道の東京五輪への道 男女7階級で出場は1人ずつ。第1段階の選考は終了し、女子78キロ超級の素根輝が内定。第2段階は19年12月のマスターズ大会(中国)と今年2月の欧州でのGSパリ、デュッセルドルフの2大会終了時点で、強化委員会の3分の2以上が1、2番手の差が歴然と判断すれば選出。最終選考会は4月の全日本選抜体重別選手権で、強化委の過半数の賛成で決まる。

 ◆影浦 心(かげうら・こころ)1995年12月6日、愛媛県生まれ。24歳。小4で柔道を始め、愛媛・新田高、東海大を経て2018年から日本中央競馬会に所属。18年GSパリ大会、講道館杯優勝。19年世界選手権男女混合団体優勝、マスターズ大会3位。左組み。得意技は背負い投げ。179センチ、120キロ。