名将・野村克也さん(享年84)の死去から一夜明けた12日、全国各地に悲しみが広がった。仙台市にある楽天の本拠地・楽天生命パークには献花台が設けられ、1690人のファンが訪れた。ヤクルトの高津臣吾監督(51)らはキャンプ地から一時帰京し、野村さんの自宅を弔問。両軍が対戦する15日の練習試合(沖縄・金武町)は、ひときわ追悼ムードに包まれそうだ。なお野村さんの本葬儀は3月16日に都内で営まれる。

 弔問を終えたヤクルト・高津監督の表情には、男の決意が見て取れた。「昨日、散々泣いたので、しっかり顔を見てお別れできた。必ず見ていてくれると思うので、恥ずかしくない戦いをしたい」。野村さんの遺体は、ヤクルトのユニホームをまとっていた。「すごく似合っていた。何回も見た姿だけど、改めてよく似合っていたんだなあと思った」と懐かしんだ。

 同行した池山隆寛2軍監督(54)は「お顔を見て、亡くなったんだという実感が湧いた。選手で7年、コーチで4年、一緒にやれたのは幸せだった」と言って涙を流した。

 この日、1軍は沖縄・浦添で韓国・サムスンを相手に今キャンプ初の練習試合が組まれていた。それでも指揮官は恩師との対面を優先させ、世田谷区の自宅を訪れた。「選手には申し訳なかったが、こちらに来て顔を見る方が大事だと思った」。気持ちに区切りをつけるための大切な儀式だった。「野村監督の素晴らしい野球を継承して、ヤクルトの伝統を守りつつ頑張りたい」と話した。

 サムスン戦は、宮出ヘッドコーチが指揮を執った。スコアボードは連日の半旗。若手主体の打線は最大4点ビハインドから15安打10得点の猛打で逆転勝ちを飾った。細かいサインを出さなかった宮出コーチは「選手が自分たちでどうするか考えながらやってくれた」と評価。野村氏の「考える野球」は確かに受け継がれている。

 ヤクルトと楽天は、沖縄・金武(きん)町で15日に練習試合を組んでおり、追悼行事が検討されている。野村さんとゆかりのある2チームで、両軍の監督(楽天は三木監督)は教え子でもある。球団関係者は「何かできればと思っています」と説明。喪章を着けて試合に臨んだり、黙とうをささげたりするなどして、改めて元監督へ弔いの意を込めることになりそうだ。

 ◆故・野村克也氏の本葬儀 3月16日に東京都港区南青山2の33の20の青山葬儀所で。関係者は正午から、一般会葬者は午後2時から参列できる。喪主は息子の克則(かつのり)氏。

 ◆最近の主な追悼試合

 ▽巨人・木村拓也内野守備走塁コーチ=10年4月24日(東京D) 巨人・広島の公式戦。長男・恒希君が木村コーチと同じ背番号0のユニホームで始球式。巨人が、アテネ五輪でチームメートだった谷のプロ入り初の満塁弾で逆転勝ち。

 ▽星野仙一氏(中日、阪神、楽天で監督)=18年3月10日(甲子園) 献花台が用意され、阪神は77、中日は20の背番号を全員がつけてプレー。

 ▽高木守道元中日監督=29日の中日・広島戦(ナゴヤD)、3月4日の中日・西武戦(岐阜・長良川)の2試合 中日は監督、コーチ、全選手が高木さんが現役時代につけていた背番号1の特別ユニホームを着用する。