2017年夏、広陵(広島)の主軸として甲子園に出場し、清原和博(PL学園)の記録を更新する1大会6本塁打を放って一躍脚光を浴びた広島・中村奨成捕手(20)。強打と強肩を評価され、同年ドラフトでは1位指名で中日と競合したほど注目を集めたが、2年間いまだ1軍出場はなし。プロ入りからこれまで、3年目の今季にかける思いを語った。(取材構成・坂口 愛澄)

 3年目で初めて春季キャンプ1軍スタートとなった中村奨。13日から始まる沖縄2次キャンプ行きの切符も手にして開幕1軍への生き残りを図っている。

 「今はチャンスをもらっている身。アツさん(会沢)や石原(慶幸)さんのプレーを見られ、毎日勉強できています」

 1年目はプロのレベルの高さに驚き、戸惑いの連続だった。

 「(甲子園で)あれだけ騒がれて、プロに入ってもうまくいくやろうなと思っていました。でも、プレーの一つ一つ、打球も全然違う。バットも金属から木製に変わり、飛距離が出なかった。もっともっと練習しないとついていけないと思いました」

 高校時代の栄光もプレッシャーになっていた。

 「めっちゃしんどかった。何かあれば(記事や名前が)出てくる。甲子園は自分の中では終わったものだったのに」

 2年目は春季キャンプでろっ骨を疲労骨折。復帰した6月の2軍戦では頭部に死球を受けるなど不運も重なった。その間に同年代のヤクルト・村上が36本塁打を放って新人王を獲得するまでに成長。やはり焦りはあるのか。

 「清宮、清宮と騒がれている中で村上が出てくるとは思わなかった。すごいな、とは高校の時から感じていた。焦りは特にない。争うというのも違います」

 思うように体重が増えずパワー不足を痛感。入団時から2年間で3キロ増えただけだったが、今オフは1日5食をノルマにし、79キロから83キロまで増量した。

 「遺伝子検査で太りにくい体だとわかったんです。食っても食っても増えない。ケーキやプリン、甘いものを多く食べました」

 今季こそは、の思いを胸にキャンプでは連日、居残りで汗を流す。原動力となっているのが家族の存在だ。

 「片親なので母親しかいない。おじいちゃん、おばあちゃんにも育ててもらったので、家族のために野球をしています」

 捕手陣には会沢、石原慶がいて磯村、坂倉、昨秋ドラフト5位の石原貴もいる。その一角に食い込むために必死だ。

 「早く1軍に行きたい。キャンプで結果を残して開幕1軍を目指します」

 ◆ノムさんに恩返し

 中村奨が故・野村克也さんに恩返しを誓った。12日、自身のインスタグラムを更新し、ともにキャッチャーミットを手にした2ショット写真を公開。「野村監督からお声をかけていただいた日の事は、生涯忘れません」と感謝をつづった。広島入団が決まった直後には花束とともに「母親を喜ばせてあげなさい」などと温かい言葉で背中を押してくれた大先輩。「一流のキャッチャーになります。天国からずっと見守っていてください。いつか、ビッグな選手になって喜ばせます!」と決意を新たにした。

 ◆中村 奨成(なかむら・しょうせい)1999年6月6日、広島・廿日市生まれ。20歳。小1から軟式野球を始め、大野東中では大野シニア(軟式)に所属。広陵では1年春からベンチ入り。17年夏に甲子園初出場で1大会6本塁打、大会通算17打点、38塁打の新記録を打ち立て準優勝。同年ドラフト1位で広島入団。年俸700万。趣味ゴルフ。家族は母と妹。181センチ、83キロ。右投右打。