青いユニホーム姿に、違和感がない。DeNA時代で見慣れていたからか。山口俊投手(32)が、米大リーグ、ブルージェイズのユニホームに身を包み、13日(日本時間14日)に、フロリダ州でキャンプインした。

 巨人からポスティングシステムで初めてメジャー移籍した山口。レンジャーズ、ブルワーズとブルージェイズが最後の最後まで争奪戦を繰り広げていた。

 ブルージェイズ入りを決めたワケの一つに、3球団で唯一、契約の中に「本人の合意なくしてマイナーには落とせない」という条件を入れられたことがある。

 メジャーは契約がすべて。日本から米国に移動の飛行機はビジネスクラスのチケットを用意されるか、ファーストクラスのチケットか、そんなことも最初の契約の段階で決められる。

 山口は今回得たこの条件により、首脳陣が「一度マイナーに落として調整させたい」と思っても、「嫌だ」と言える。メジャーに居続けられる。

 この条件にこだわったのならば、よっぽど自信がないのだろうか―。キャンプでもシーズン中でも、それなりに結果を残せば、マイナーに落とされることはないはず。それなのに、契約で守られたいとは…。

 「僕はこの条件を手にしたことで、自分自身にプレッシャーをかけたと思ってますよ」

 山口はそう反論した。

 「球団にとっては、マイナー降格させられない人材は面倒ですからね。他の選手を試したくても、僕がいる1枠のせいで昇格させられない。でも、メジャーはホントに要らないとなれば『お金払ってあげるから出てってください』って僕のクビを切りますよ」

 マイナー降格を受け入れる契約ならば、クビを切られずに契約期間の2年を過ごすことは可能そうだが、マイナー行きを拒否できると、そうはいかない。結果が出なければ、「サヨナラ」と契約を切られる、ということ。

 「やったことに対しての見返りは、絶対(日本より)アメリカの方が大きい」と言う山口。年俸のことだ。結果を出せば、メジャーでは日本では考えられないような大金を手にすることもできる。それを夢見る部分もあるだけに、プレーできなかったら海を渡る意味はない。

 だからこそ、クビを切られる可能性のある状況を自分で選んだということは、逆に「自分に自信がある」ということのようだ。「(クビを)切れるものなら切ってくださいよ、ってそれぐらいの覚悟で行くんでね。逆に言えば、切られない自信はありますよ」

 山口にはもう一つ、こだわった条件がある。それは3年目はフリーエージェント(FA)になれる、というものだ。交渉の中で、「3年目は球団に(契約の)選択権がある」というものから、FAを勝ち取った。

 これは前述の通り、お金の話。契約した2年で結果が出れば、改めて大型契約が結べるようになるということ。

 「金稼ぎ行くんだもん」そう言って笑った山口。そういうストレートなところ、いいと思います。アメリカン・ドリーム、かっちりつかんでください。(柳田 寧子=メディア局編集委員)

 ◆山口 俊(やまぐち・しゅん) 1987年7月11日、大分県生まれ。32歳。柳ケ浦高から2005年高校生ドラフト1巡目で横浜(現DeNA)入団。12年には25歳1か月という当時の史上最年少で通算100セーブ達成。16年オフ、巨人にFA移籍。18年にノーヒットノーラン達成。19年11月にポスティングシステム(入札制度)によるメジャー挑戦を表明。12月27日にブルージェイズと総額635万ドル(約7億円)の2年契約で、正式に契約を結んだ。出来高を入れれば2年で最大915万ドル(約10億円)になる契約とされている。187センチ、98キロ。右投右打。