ロッテのドラフト1位・佐々木朗希投手(18)=大船渡高=とスポーツ報知評論家の高木豊氏(61)の対談が14日、那覇市内で行われた。最速163キロ右腕は、目指す理想を「繊細なパワーピッチャー」と表現し、力と技術を最高レベルで兼ね備えた究極の投手を志していると明かした。11日に急逝した野村克也さん(享年84)も期待していた“令和の怪物”は、「期待に応えたい。誰が見ても一番と思える投手になりたいです」と、力強く決意を語った。(構成・宮脇 央介、小田原 実穂)

 高木氏(以下、高)「岩手と比べたら沖縄は暑いよね。疲れはどう?」

 佐々木朗(以下、朗)「暑いですね。ちゃんと練習やってるので練習疲れもありますけど、普段から見られることだったり、慣れない人と接したりとか、年下もいないので…」

 高「気疲れするよね。こういうインタビューも疲れるでしょ?」

 朗「いえ、大丈夫です(笑い)」

 高「ドラフトの時、パ4球団が佐々木くん、セ3球団が奥川くんだったでしょ? 不思議な現象だと思ったけど、どう感じたの?」

 朗「後々考えると、そうだなと思いました」

 高「生前、野村克也さんがテレビ番組で今回のドラフトで誰を指名するか、と聞かれた時、佐々木くんだったんだよね。真っすぐが違うって」

 朗「本当にうれしいですし、自分自身も真っすぐが持ち味だと思っているので、そこはこれからも磨いていかないといけないと思います」

 高「偉大な野村さんが、佐々木くんにはすごく期待していた」

 朗「期待に応えたいですね。記録としてもタイトルをとって実績を残したいですし、誰が見ても一番と思うような投手になりたいと思います」

 高「タイトルでとりたい部門は何?」

 朗「防御率です。投手の力が一番分かるじゃないですか」

 高「そうだね。13日に初めてブルペンに入ったけど、自分ではどう感じた?」

 朗「傾斜を使って投げたいと思っていたんですけど、気持ち悪かったです(笑い)。平地に慣れてしまって思うように投げられなくて、理想とはほど遠かったなと」

 高「今日は平地で捕手を座らせて投げていたけど、張りとかはどう?」

 朗「いいところに張りが出ている感じです」

 高「いろんな投手がいる中で誰かを目標にしているのか、自分の理想を目指しているのか、どっち?」

 朗「自分の理想です」

 高「理想はどんな投手?」

 朗「繊細なパワーピッチャーです。コントロールも良くて、変化球も操れるパワーピッチャーは、今までなかなかいないかな、と」

 高「パワーピッチャーって力で押して制球はそこまで良くない。甘いところでも勝ててしまう。そうじゃなくて、四隅に決めたい?」

 朗「そうですね。見てても『完成度高いな』って思ってほしいです。アウトロー、インコースに決まったら気持ちいいですし、納得がいくんです」

けがしない  高「チームはしっかり体づくりをしてから1軍に上げようとしている。自分の気持ちはどう?」

 朗「やっぱりけがをしない体づくりが必要だと思います。筋力もあまりないですし、スタミナも1試合は投げられるかもしれないですけど、ローテーションには入れないです。その意味で体づくりは今年一番大事ですが、1軍での経験は貴重なので1軍で投げて何かを感じたいと思ってます。焦ってはないです」

 高「対戦したい打者はいる?」

 朗「いないです(笑い)」

 高「いないんだ(笑い)。おもしろいね。相手打者と対戦する時、上から押さえつけにいこうとするのではなく、頭の中でシミュレーションして計算で打ち取りたいタイプ?」

 朗「そうです。自分で“これだ”と思うものがあるので、自分の投げたい球を投げていきたいな、と」

 高「注目は160キロの真っすぐと言われるけど、そうじゃなくて組み立て、ちゃんと計算のもとに投げ切って打ち取りたいと。力でねじ伏せる、ではなく」

 朗「状況にもよると思うんですけど、全力だと疲れちゃうんで」

 高「まだね」

 朗「楽にできたら、それが一番いいと思うので」

 高「MAXでは投げないということだね。80%くらいの力で打ち取って、要所の時に100(%)を出せるようなスタミナと、今持ってるエンジンをもっと磨きたいということだよね」

 朗「そうです」

 高「いつからそんな考えになったの? 高校生はマウンドに上がったら全力で投げないといけないから全力で行くじゃん」

 朗「高3ですね。夏の大会の日程とか見て、長い回を投げるには体力を残していかないといけないし、全力でやったらいつかはスタミナ切れになるので、なるべく楽していきたいな、と」

 高「楽、と言うよりも計算だよね。要所要所で余力を残しながら。いい投手って初回の球速よりも9回が上がってくる。計算していくと、9回に上げていく自信あるでしょ?」

 朗「はい。1試合くらいなら(笑い)」

 高「一番年下で気を使うと思うけど、リラックス方法だったり、1日の一番の楽しみはあるの?」

 朗「ダラダラすることです。寝て、その時にしたいことをするのが一番ですね」

 高「なかなか自由な時間ないよね。外に出たら見られてるし。高校の時もそう?」

 朗「高校の時はあまりなかったです。試合の時はそうでしたけど」

 高「戸惑った? “こんなにサインするの”とか」

 朗「人、多いなと(笑い)」

 高「野球以外で気を使うことが多いけど、スターだからね。慣れていかないと」

 朗「いえいえ(笑い)」

 高「高校では4番。パ・リーグは打席に立たないけど、打撃はもう未練ないの?」

 朗「ないです」

 高「あと、肩甲骨がめちゃくちゃ柔らかい」

 朗「人よりは柔らかいですね。元から柔らかかったですけど、プラスでストレッチはしたりしてきました」

 高「佐々木くんにとって160キロって?」

 朗「投げるまでは一番の目標だったんです。投げれるんじゃないか、と思ってやってたので。球速って数字で出るから一番分かりやすいモチベーションでした」

 高「こうすれば速い球を投げられる、というコツあるの?」

 朗「腕の振りです。人それぞれ(腕の振りの)いいところって違うと思うので、それを見つけられるかだと思います。スピードより、それによってコントロールがよくなりました」

 高「僕も高校では投手だったんだけど、135キロくらいで(笑い)」

 朗「(苦笑)」

 高「見たことのないような「繊細なパワーピッチャー」を目指してください。一人のファンとしても楽しみにしてますよ」

 朗「はい、頑張ります」

 ◆佐々木朗のプロ初キャンプ経過

 ▽2月1日 キャンプイン
 ▽同2日 投内連係
 ▽同4日 1軍帯同続行が決定
 ▽同6日 18.44メートルの距離(平地)で初投球11球
 ▽同7日 同23球
 ▽同9日 同26球
 ▽同11日 同28球
 ▽同13日 プロ初ブルペン。立ち投げ5分間で25球、1軍キャンプ打ち上げ
 ▽同14日 平地ながら捕手を座らせ5分間33球

 ◆佐々木 朗希(ささき・ろうき)岩手・陸前高田市生まれ。18歳。小3で野球を始める。11年の東日本大震災で被災し、大船渡に移住。大船渡一中では軟式野球部。大船渡高に進学し、1年夏からベンチ入り。2年秋から背番号1。3年夏は岩手大会準V。4球団の競合の末に19年ドラフト1位でロッテ入り。年俸1600万円。190センチ、85キロ。右投右打。