東京五輪が、年内開催を目指して秋以降に延期となる可能性が20日、急浮上した。ギリシャで採火された聖火がこの日、宮城に到着したが、新型コロナウイルス感染拡大で7月24日からの通常開催が危ぶまれる中、複数の組織委関係者が年内での延期が最も現実的な選択肢と明かした。国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長も、米紙のインタビューで初めて延期を視野に入れた発言をした。IOCの開催判断のデッドラインは4月いっぱいとみられ、コロナ禍が収まらない場合、延期の流れが加速しそうだ。

 東京五輪の新たな選択肢として、「年内延期」が急浮上してきた。コロナ禍の広がりと並行して、五輪開催の是非が世界中で取り沙汰されている。ある組織委関係者は通常開催をあくまで理想としつつ「今年の秋くらいまでの開幕の微調整はあり得る」と指摘。別の関係者も「延期なら年内が最も現実的で、具体的な対応策」と見解を述べた。

 延期論がにわかに現実味を帯びてきたのは間違いない。19日のニューヨーク・タイムズ電子版はIOCのバッハ会長のインタビューを掲載。ここまで通常開催に固執してきた同会長は「中止は議題にない」と強調する一方で、「もちろん違うシナリオは検討している」と初めて延期を視野に入れた発言をした。12年ロンドン五輪の組織委員会会長を務めたセバスチャン・コー世界陸連会長も「9月か10月に延期は可能」と持論を展開。ある大会関係者も「開幕は7・24以外、ということだろう。これから本格的に延期検討という話になるのではないか」との見方を示した。

 一部の組織委理事から提起があったように1、2年単位の延期も、検討対象になる。ただ、その場合はリスクが非常に大きい。何よりも今夏に照準を合わせ、代表権も獲得しているアスリートへの影響が甚大だ。スタッフの人件費や、競技会場の確保、さらには21年に予定される世界陸上、世界水泳といった五輪競技の大規模イベントとのバッティングも起き、日程調整は困難を極める。IOC総会での議決も必要となり、手続きすら容易ではない。

 数か月単位の年内延期であれば、それらのマイナス面を最小限にとどめることも可能だ。延期した場合の金銭面について、バッハ会長は「危機管理の方策と保険で、IOCは事業を継続できる」と自信を示す。ある識者は「(米国放送局の)NBCが持っている放映権料についても、ある程度までは保険でカバーできるだろう」と見通しを明かした。

 ただ、バッハ会長も「時期尚早」と強調するように、開催可否の判断は今後のコロナ禍の状況による。五輪の最終エントリーは7月6日。大会準備を円滑に進めるためにも、その約2か月前までには会長は態度を明らかにするとみられ、逆算すると4月いっぱいがデッドラインとなりそうだ。コロナ禍に終息の兆しがなく、予選消化の停滞が続いたときには、五輪史上初の延期の公算が大きくなる。