2008年北京五輪陸上女子400メートル、同1600メートルリレー代表の千葉麻美さん(34)は第1子を妊娠中に11年の東日本大震災を経験した。現在は、故郷の福島・矢吹町で小中学生を中心に陸上や体育を指導。「復興五輪」をうたう今大会で、28日には地元で聖火リレーを走る大役を担い「子供たちに五輪を少しでも感じてほしい」と走る瞬間を待ちわびている。

 女子短距離の第一人者として日本代表をけん引してきた千葉さんは現在、五輪の経験を伝えようと講演会にも積極的に参加している。北京大会の時に個人で撮影した写真を使いながら紹介しているが、子供たちが一番反応するのが選手村だという。「ゲームセンターやファストフードの写真を見せると、『これ、全部タダでできるの? すご〜い』という子もいます。それでも憧れを持ってもらえたらうれしい」と笑う。

 福島の子供たちは震災による原発事故の影響で長期間、外での運動を制限されていた時期がある。世界を目指せる選手を育てることが夢という千葉さんにとって、体を動かすことの楽しさを教えることが大事という。「外で遊ぶことでリズムを身につけたり、楽しむことでスポーツをやろうという気持ちを持ってもらえたら」。自らがかなえられなかった2度目の五輪出場を託せる選手が現れることを楽しみにしている。(遠藤 洋之)