2016年リオ五輪のボート・軽量級男子ダブルスカル日本代表の中野紘志(32)=中野紘志RC=が21日、埼玉・戸田ボートコースでの日本代表候補選考レースの準決勝終了後に取材に応じ、22日の同大会のレースをもって現役を引退する意向を表明した。今大会で4位以内に入れなかった場合、東京五輪代表入りはかなわない。2大会連続出場を目指したが、目標には届かなかった。「『終わったな〜』という気持ち。選手としては引退します。来年からまた1年頑張れるかという気持ちはないので。五輪を目指して頑張れたこと自体が幸せでした」と吹っ切れた様子で語った。

 26歳ごろから運動誘発ぜんそくを発症。3月〜4月にかけて症状が出るといい、20日の予選から体の状態は本調子でレースに挑めなかった。この日は妻の千尋さん(33)、長女の七緒さん(2)がコース周りで見守る中、7分34秒62で第1組4位となり、準決勝で敗退。「(レースは)特別に悪くはなかった。いろいろと対策はしてきたけど、しょうがないです」。せきの影響か、悔し涙か本人も分からないが、光るものが目にあふれた。

 22日に同会場での7位〜12位決定戦に出場予定だが「明日もあるけど、この(体の)状態なら棄権かも。とか言って出るかも」とした。引退後については「(ボートは)やらないです。自分が何に向いているか分からないので、ボートを始めた時みたいに『ゼロ』からのスタート。地道に新しい舞台を見つけたい。父親なので早く切り替えて、決めていかなければいけない」。千尋さんの腕の中で昼寝するまな娘を見つめながら決意した。

 ◇中野 紘志(なかの・ひろし)1987年12月1日、金沢市生まれ。32歳。一橋大ボート部に入部し、競技を開始。09年世界U―23選手権で日本人初の銀メダル獲得。卒業後は実業団に進んだが、16年リオ五輪代表入りを目指し、16年からプロ転向。リオ五輪は軽量級ダブルスカルで出場。