◆アーチェリー東京五輪代表第2次選考会第1日(21日、静岡・つま恋リゾート彩の郷・第2スポーツ広場)

 浜商コンビの明暗が分かれた。8人中6位までが22日の2日目に進出するこの日、女子の第一人者・杉本智美(25)=ミキハウス、浜松商高出=が7位に終わり、東京五輪出場が絶望的となった。風の影響に苦しんだ杉本が得点を伸ばせないまま、まさかの敗退。浜松商の先輩・杉本と競り合った山内梓(21)=近大3年=が6位に入り、五輪代表に一歩前進した。

 サングラスの奥からあふれる涙が止まらなかった。浜松生まれの杉本が、地元で東京五輪の夢を絶たれた。2位で1次選考会を通過した実力者が、まさかの7位。残り2エンドを残して5点差まで追い詰めたが、圏内の6位には届かず、「応援して下さる方に、こういう結果しか伝えられないのが悔しい」とうつむいた。

 苦手意識のあった風に、最後まで悩まされた。「克服するように練習してきたが、恐怖心が矢に伝わってしまったかな」。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、無観客試合となったのも、心を惑わせる原因に。来場する予定だった家族の応援もなくなったことも、杉本には“逆風”となった。

 追いあげモードだった午後の後半1エンド目は40点と、この日自身の最低得点をマーク。「風が絶え間なく吹いていて、ちゃんと射ることができなかった」。1ラウンド(72射)の自己ベストが680のところ、この日は午前588、午後も594と600にも届かなかった。

 実績は十分だ。昨年の上海W杯で2位。2018年にジャカルタで行われたアジア大会では、混合で金、女子団体で銀と2つのメダルを獲得しており、東京五輪の出場争いでも最有力候補に挙げられていた。「コンディションを合わせてきたつもりだったけど、出し切れなかった。でも、後悔はしたくない。精一杯やった」。赤く腫れた目を時折ぬぐいながら、自らにいい聞かせるように話した。

 第一人者のプライドは最後まで保った。「残った選手には頑張っていただきたい」とエール。高校、大学の後輩で最後まで6位争いをした山内の肩を抱き「あしたは頑張ってね」と激励した。「今後のことは、まだ考えられない」。2024年のパリ五輪を狙うかについては明言を避けた25歳が、五輪争いの舞台から姿を消した。(塩沢 武士)