◆大相撲春場所14日目 〇鶴竜(下手投げ)朝乃山●(21日・エディオンアリーナ大阪)

 大関取りの関脇・朝乃山がまたも横綱の壁にはね返された。結びで2敗・鶴竜の下手投げに屈した。13日目の白鵬戦に続き、初の連敗で4敗目。昇進目安の今場所12勝には到達できなくなったが、千秋楽は一人大関・貴景勝戦が組まれた。昇進を預かる日本相撲協会審判部は星数だけでなく相撲内容も注視しており、白星締めで最後までアピールを続ける。V争いは2敗対決で横綱・白鵬が平幕の碧山に勝利。これで白鵬、鶴竜の両横綱による2013年九州場所(日馬富士―白鵬、日馬富士が優勝)以来の千秋楽相星決戦となった。

 つかみかけていた朝乃山の横綱戦白星が、こぼれ落ちた。結びの鶴竜戦。立ち合いで右を差す得意の形をつくると、ジワジワと圧力をかけて2度、押し込んだ。落とし穴は土俵際。横綱に体勢を入れ替えられて下手投げでほぼ同時に落下した。「勝ちたい気持ちが出た」と一度は受け身を取った左手を引っ込めた。軍配も朝乃山に上がった。だが物言いの末、その左腕がわずかに先についており、軍配差し違えで痛恨の4敗目。13日目の横綱・白鵬戦に続く初の連敗を喫した。

 大関昇進目安は「三役で直近3場所33勝」。昨年九州場所(11勝)、初場所(10勝)から今場所は12勝が必要だった。数字上は目標に到達不可能になった。取組直後、花道奥の映像を再確認すると、額に両手を当てて感情を押し殺した。心を落ち着かせ、取材エリアに再度、姿を現すと「悔いはない。自分が弱い、それだけです。出直しです」と必死に顔を上げた。

 ただ、大関への望みが完全に消えたわけではない。昇進を預かる審判部は、成績だけでなく、内容も判断材料にしている。連敗の朝乃山について、境川審判部長代行(元小結・両国)は「昨日と今日(の横綱戦)はどちらかに勝ちたかった」と不満を示しつつも、「内容は初日から充実している。誰に対しても真っ向勝負する魅力があり、好感が持てる」と含みを持たせた。八角理事長(元横綱・北勝海)も「立派な相撲を取った。攻めていたからね。追い詰めたんだから」と評価した。

 千秋楽は7勝7敗と勝ち越しが懸かった一人大関・貴景勝戦が組まれた。今場所は38年ぶりに東西大関がそろわない異常事態。鶴竜が「横綱大関」を務めているなど、番付上の“追い風”も朝乃山に吹くだろう。「思い切っていきます」と気持ちは切り替えた。最後のアピールは、押し相撲の代表格に勝つことが絶対条件だ。

(竹内 夏紀)