大相撲春場所で大関昇進を確実にした関脇・朝乃山(26)=高砂=が千秋楽から一夜明けた23日、大阪市内の高砂部屋宿舎で会見した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で無観客という異例の場所を戦い抜き、富山県出身力士としては横綱・太刀山以来111年ぶりの新大関となる大器。「太刀山さんに近づける一歩を踏み出したという感じ」と綱取りにも意欲を示した。

 朝乃山の表情は、安堵(あんど)に包まれていた。大関昇進を確実にした千秋楽から一夜明け、「プロに入って大関、横綱を目指してやってきたので、一つは目標にしてきたことができたなという感じ。有言実行できてよかった」と無観客という異例の雰囲気の中で行われた15日間を振り返った。

 大関昇進は、25日に開かれる夏場所(5月10日初日、東京・両国国技館)番付編成会議と臨時理事会を経て正式に決まる。近大出身大関は、師匠・高砂親方(元大関・朝潮)以来2人目。会見に同席した師匠からは「13番勝ったことがない。これがこれからの課題。12勝で優勝はラッキーなんだから13、14で優勝が大事」と厳命された。富山出身では横綱・太刀山以来、111年ぶりの大関となる朝乃山は「太刀山さんに近づける一歩を踏み出したという感じ」と新たなスタートを実感した。

 地元の期待も大きく、富山市内には応援旗が沿道に立ち並ぶ。2016年3月の初土俵以来15本ほど作成され、一番最初の旗には「太刀山に続け! 石橋広暉(本名)」の文字が入った。昨年11月には「一生懸命! 朝乃山」の旗も登場した。「一生懸命」はプロ入りの際に発し、サインにも添える大切な言葉。25日の昇進伝達式の口上には「中学生から使っていた言葉」を使う案を明かしている。高砂部屋の先輩・朝青龍が横綱昇進時に「相撲道発展のために一生懸命頑張ります」と口上を述べており、新大関の選択にも注目が集まる。

 春場所は11勝で、直近3場所の勝利数が目安の33勝に届かず32勝だったが、188センチ、177キロの体を生かした四つ相撲が評価された大器。次なる夢、綱取りには2場所連続優勝、またはそれに準ずる成績が求められる。昭和以降、大関2場所での横綱昇進は双葉山と照国の2人だけ。「まだまだ課題はあるし、横綱に勝てるようにならないと上の番付は目指せない。しっかり稽古して、本場所で恩返しできるように勝ちたい」。故郷の英雄・太刀山を目指して―。26歳の新たな挑戦が始まった。(竹内 夏紀)

 ■元朝青龍、“後輩”朝乃山祝福に「師匠に挨拶に行くかな?」 元横綱・朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏が23日、自身の公式ツイッターを更新し、かつて所属していた高砂部屋の“後輩”、朝乃山の大関昇進を祝福するため同部屋を訪れるプランを明かした。この日の会見の様子を見たようで「久々師匠の顔見た! 歳取りましたね」「久々高砂部屋に師匠に挨拶に行くかな? 新大関誕生来る日が近いてるし、10年だな」(原文ママ)とつぶやいた。

 ◆第22代横綱・太刀山 1877年、富山市生まれ。板垣退助や西郷従道らに説得され22歳で友綱部屋に入門。当時の体格は185センチ、139キロで、怪力を生かして相手を土俵にたたきつける技は「太刀山の仏壇返し」と恐れられた。1911年に横綱へ昇進し、強烈な突っ張りを武器に優勝9回。最後の優勝だった1916年5月は第1次世界大戦中だった。