東京五輪の延期が決定的となり、焦点はどの時期に開催されるかに移った。今後4週間でIOCと日本の双方で協議を行って決めるが、時期によってそれぞれ課題が生じることは必至。5つの分野で想定されるメリット、デメリットを紹介する。

 ▽新型コロナの影響 ワクチンや治療薬の開発には最低でも1年はかかるとみられ、世界保健機関(WHO)がパンデミックを終息と宣言するには相当の期間がかかる。来年開催でも微妙な状況だ。「終息」を考えるのであれば、開催時期はより遅らせるのがベターとなる。世界的流行のピークが過ぎる「収束」で判断するならば、可能性は十分にあるが、どの時点が「収束」か見通しは困難だ。

 ▽選手選考 IOCによると57%の選手が東京五輪代表に内定。つまり半分以上が出場権を得ている。「収束」段階で予選再開が可能であれば、残る大会を数か月遅らせることで公平に選手選考は可能だ。1年、2年遅らせると、若い選手の成長と、20年を集大成に目指してきた選手の力関係は大きく変わる。再選考は開催時期が遅ければ遅いほど必要になるが、既に権利を持っている選手がスポーツ仲裁裁判所(CAS)に訴えるなどの事態に発展する可能性がある。

 ▽会場&選手村 競技会場は41。野球の横浜スタジアムやサッカー会場の一部はプロチームとの使用の兼ね合いも出てくるが、有明テニスの森は来年3月まで、東京体育館は同1月まで他の団体が使用できないなど、大会後の再整備も兼ねて借用している。逆に期間が空いてしまうと幕張メッセやさいたまスーパーアリーナを長期借用するのは困難。選手村の跡地に開発されるマンションも23年3月から入居予定となっており、既に900戸近くが販売。延期となれば補償問題にも発展する。

 ▽コスト 来年以降に延期された場合、見込んでいた訪日外国人客が減り、国内消費も冷え込むことが予想され、エコノミストからは今年の経済損失が3兆円を超えるとの見方も出ている。組織委は五輪、パラリンピック終了後の21年3月までに主な業務を終了し、同年度内に解散予定。延期となると職員約3500人の人件費、事務局などの賃料などは期間が延びれば延びるほどかさむ。また、会場についても使用しなくても年で億単位の整備費用がかかり、出費は大きくなる。また、チケットの払い戻し、販売形態も見直しが必至で、既に購入している人が定価でリセール(転売)できる仕組みとなっているが、当初は出品者負担となっている手数料を組織委に求める声が出る可能性はある。

 ▽他のイベント スポーツの国際的なカレンダーは多くが決まっており、1年後だと世界水泳(7月〜8月)、世界陸上(8月)と五輪の花形競技の国際大会が確定。2年後は冬に北京五輪、9月に杭州アジア大会、11月にサッカーW杯がある。また、パリ五輪に向けた選考レースも開始しており、東京五輪をねじ込むには多くの課題がある。放映権を持つ米NBCとの交渉が必要となるが、今秋開催なら他の国際大会とのバッティングは避けられる。