国際オリンピック委員会(IOC)が22日の緊急理事会で東京五輪の延期を本格的に検討すると決め、延期が決定的となったことを受け23日、安倍晋三首相(65)、五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(82)らが7月24日開幕からの延期を容認する意向を示した。今後はIOC、日本政府、組織委、東京都の4者が連携して課題を検討し、4週間以内に開催時期などの結論を出す。

 「まず延期の方針だけを決める」という異例の手順が、IOCの置かれた厳しい立場を象徴している。

 バッハ会長が「週末のサッカーのようにはいかない」と例えたように、水面下で検討しても「延期」「中止」と簡単に口にするわけにはいかない。ひとつには、五輪ほどの巨大イベントになると、組織委や政府のみならず、多くのステークホルダー(利害関係者)との調整や説得に膨大な労力を要するからである。その時間を踏まえると、当初は4月いっぱいが決断のデッドラインとみられていた。

 だが「通常開催」というIOCの意向は、コロナに苦しむ世界中から想像以上に激しい反感を買った。セバスチャン・コー世界陸連会長は延期論を小出しにして、信頼関係の深いバッハ会長の意向を代弁したのだろうが、世論を鎮火するには至らなかった。

 「延期」の言い出しっぺになって責任や経費をかぶらされるのは避けたい。日本側も通常開催が厳しい情勢は重々承知しながら、IOCの出方をうかがっていた。しかし、駆け引きの猶予を与えないほど、延期を求める圧力は強烈だった。今後、さらにボイコットをちらつかせる国も増えていただろう。祝福なき五輪に、意義を見いだすのは難しい。追い込まれたIOCは、見切り発車せざるを得なかった。(東京五輪担当・太田 倫)