◆体操・森末慎二さん(1984年ロサンゼルス種目別鉄棒金メダル、跳馬銀メダル、団体銅メダル)

 東京五輪の1年程度の延期が24日に決まった。開幕まで4か月を迎えたこの時期の急展開。体操の森末慎二さんが、延期による影響や選手の思いを代弁した。

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 1年後の開催が、アスリートたちがモチベーションを保つことができるギリギリの期間と感じる。選手は4年間もの時間をかけてピークを五輪に合わせてきている。競技によって違いはあるが、10代から20代前半の選手は今が伸び盛り、一方で東京五輪を最後に引退を決めている選手もいる。1年後では、一から代表選考をやり直さなければならないと思う。

 私自身も27歳の時に1984年ロサンゼルス五輪に出場し、28歳で現役を引退した。ベテラン選手にとって、1年という時間は大きい。もし東京五輪が2年後の開催だった場合、五輪を最後と考えていたベテラン選手の多くは引退していただろう。

 日本の選手たちは、このような社会情勢でも練習環境が確保されており、五輪に向け準備を進められているが、世界を見ると外出禁止で十分な練習ができていない選手もいる。特に体操など器具を使う競技は、体育館に行けないとなると練習が全くできない。代表選考の大会も延期が相次ぎ、選手を選ぶこともできていない。このまま予定取り五輪が開催されていても、特に海外選手は本来の実力を出し切ることはできず、不完全燃焼だっただろう。

 まだ開催日程は確定しておらず、選手たちにとってはゴールが見えず、どこに向かっていいか分からない状況で、モチベーションを高く保ち続けることも難しい。一日でも早い決断が求められている。