巨人が19日の阪神との開幕戦(東京ドーム)に勝利し、球団通算6000勝を達成した。

 スポーツ報知では、「巨人6000勝の軌跡」と題して、1000勝から100勝ごとの節目勝利を、当時の記事で振り返る。

 * * *

 ドカン、ドカン、ドカン…。松本、原、中畑。巨人の8回に魅せた一発攻勢は見事でした。これをはずみに、今度は“虎退治”といきたいですね。

◆巨人6―3ヤクルト(1985年4月29日・神宮)〔勝〕加藤 3試合1勝2敗〔敗〕梶間 5試合5敗〔本〕篠塚2号(宮本・4回)、水谷2号(加藤・4回)、松本1号(梶間・8回)、原4号2ラン(松岡・8回)、中畑4号(松岡・8回)、杉浦5号(定岡・8回)

 勝利の女神というのは、より真摯(し)な態度をとる方にほほえみかけるものだ。王監督は懸命になって勝ちにいった。同点に追いつかれた直後の8回、中本に昨年相性のいい淡口(打率6割、2本塁打)を力投を続けた加藤の代打に送ったのは当然だろう。

 それを見て一塁側の土橋監督が動いた。「去年のデータが悪いから」と4番手として梶間を投入したのだ。「おかしいんじゃないか」の声がベンチ内で起きたという。ここで代えるのなら、同点に追いついた7回裏、なおも1死二塁で、中本をなぜ、このまま打席に送ったのか。

 「巨人だけには優勝させない」と開幕前から宣言していた土橋監督だが、先の読めない場当たり主義に、女神も怒ったのであろう。8回1死で右打席に立った松本に対して、梶間に0−1から内角高めの打ちごろの直球を投げさせたのだ。

 勝利を決める1号ソロはオレンジ色のメガホン集団の中に喜びをもって迎え入れられた。左打席では足ばかりが警戒されるが、右は隠れたロングヒッター。2年ぶりの右打席本塁打に「ボクは1番にこだわっている。誰にもこの座を渡したくない。きのう失敗(守りのミス)しているから、それをはね返そうと思っていたんだ」と一気にまくし立てた。「そのための多摩川だったんだ…」とポツリ。

 午後1時、多摩川。全員が集合。王監督がナインを前に8分間、訓示した。前夜(28日)見せた1イニング3失策の醜態。なんで、こんなチームになったのか。そう自分の胸に問いただしたビッグ1は「できなかったことは、練習でやるしかない」と言った。

 テレビなどで緊急練習を知った1万人近いファンが見守る中、ウォームアップの後は、フライ捕球の練習が20分間続いた。

 クロマティがベース際までスピードを落とさなかった。8回2死から遊撃左への内野安打で出塁した。勝利へ加速度のついたチームは止められない。ここで土橋監督がマウンドに送った松岡は逆に勢いをつけさせるだけだ。

 ど真ん中のストレートを原がバックスクリーンへたたき込んだ。「昔は苦手で全然打てなかった人。いや、球も結構速かったですよ」と原はベテラン投手をかばった。勝ち試合での初の一発だった。

 そしてトリはキヨシだ。2度目の猛打賞を決める左越え4号。7回の守りでカットに入り本塁への送球を低投。同点にされるミスを演じているだけに「あれは焦った。テクニックがなかった。でもナイスホームラン」とこちらは、その日のうちに気分転換だ。

 昨年2度あった1イニング3本塁打はやはりいずれもヤクルト戦。初の3連戦勝ち越しは相手に恵まれた。(山田収)