巨人が19日の阪神との開幕戦(東京ドーム)に勝利し、球団通算6000勝を達成した。

 スポーツ報知では、「巨人6000勝の軌跡」と題して、1000勝から100勝ごとの節目勝利を、当時の記事で振り返る。

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 加藤初、まさか(失礼!!)の完封勝利。遠征9連戦が終わる今日、狙いはひとつ、首位確保だ。先発予想は桑田。桑田が先発すると巨人が負けない「不敗の神話」よ、もう一度。

◆巨人2―0広島(1986年8月2日・広島)〔勝〕加藤初 17試合9勝3敗〔敗〕川口 16試合9勝5敗

 本当に頼りになるお父さんだ。加藤初、36歳。最後の打者・山本浩を三邪飛に打ちとって、お父さんはマウンドにしゃがみこんだ。帽子をとってニカッと笑う。噴き出した汗は、働く男の証明だ。

 84年8月29日以来の完封、というよりプロ15年目で10度目の完封という方が快挙であることがわかるだろう。久々の充実感。お父さんはスポーツドリンクを一気に喉に流し込んで言った。

 「まっすぐが走ってたからね。ここぞという時はまっすぐで押した。有田もいいリードをしてくれたし、最後まで肩も肘も、(痛めていた)左足カカトも何ともなかったよ」

 散発の5安打、三塁を踏ませぬ完封劇。ピンチというほどのピンチもないぐらいスイスイ。ただベテランらしいツボを心得たピッチングを見せてくれた。

 フルカウントになったのは5度だけだったが、これはみなクリーンアップに対して。主砲には慎重に、そしてあとは年に似合わぬ力感あふれる速球で牛耳っていくのだ。

 「精神的には結構、しんどかったよ。四球なんか出すと走ってこられるからね」

 その緊張感がもたらしてくれたのが83年6月以来の無四球試合。いや、これも言い換えよう。15年で268回先発をし、これが生涯4度目の無四球試合なのだ。

 広島とのゲーム差をまた0にした。前日まで対広島に3連敗を喫し、またズルズルと後退してしまいそうなムード。

 この日の朝、王監督はどういう風の吹き回しか宝クジを買いに出掛けたのだが、加藤初が宝クジ的確率の好投を披露したわけだ。もちろん、きょう3日の第3戦が大きなヤマ場になるとはいえ、正念場を踏ん張ってくれたお父さんに、監督賞5万円は安い。

 そしてこの人。大事なゲームは、やはりこの男に頼らざるを得ない。クロマティだ。後半戦になってからなぜか猛ハッスル。ベンチでも「レッツゴー・ジャイアンツ!」と一番デカイ声を出しているクロウがまた打った。

 3回2死二塁で左翼線に先制のタイムリー二塁打。内角を狙った川口の速球が、甘いコースにきたのを集中力抜群の“やる気マン”は見逃さない。これが両リーグを通じてトップの12個目のV打点。

 7回にも2死一塁で中前安打。長島のエラーを誘い、好投・加藤初を援護する貴重な2点目となった。

 「オレが打たなきゃ、やっぱり巨人は優勝できないぜ」憎らしいほどのセリフも、おっしゃる通りとあっては仕方がない。元気なお父さんと“やる気マン”の力で、8月進撃スタートだ。頼りになる男たちのいるチームは強いんだ。(湯浅 佳典)