巨人が19日の阪神との開幕戦(東京ドーム)に勝利し、球団通算6000勝を達成した。

 スポーツ報知では、「巨人6000勝の軌跡」と題して、1000勝から100勝ごとの節目勝利を、当時の記事で振り返る。

 * * *

 巨人は今季初の1イニング3発(8回)、1試合4発、セ・リーグ今季最多の20安打と打ちまくり阪神に11―7で勝った。桑田―中西の先発でスタートした試合は乱打戦となった。巨人は8回、野田を攻めて勝負を決め、桑田をリリーフした木田が打たれながらも締めくくった。巨人の貯金は15、2位大洋との差は5・5ゲーム。

◆巨人11―7阪神(1990年7月4日・甲子園)〔勝〕木田19試合7勝6敗5セーブ〔負〕野田26試合9勝6敗5セーブ〔本〕岡田16号(桑田・1回)、木戸2号(桑田・6回)、中尾4号(野田・8回)5号2ラン(遠山・9回)、川相4号(野田・8回)、クロマティ5号(野田・8回)、真弓7号2ラン(木田・9回)

 歓声とタメ息が何度も甲子園球場の銀傘にこだました。取って、取られての壮絶な乱打戦。一転、二転、三転…。

 8回だった。阪神のマウンドには切り札・野田が立っていた。そして打席は、6回から村田に代わってマスクをかぶった中尾だった。「内角だけを待ってたんだ。インコースを思い切りしばいてやろうと思っていた」

 0−2。同点で迎えた終盤の先頭打者。「一番自信のある球でストライクをとりにくる」ベテラン捕手らしい鋭い読みが、快音を生んだ。左翼ポール際に突き刺さる勝ち越しの4号ソロが、阪神の息の根を止める一発攻勢の始まりだ。

 「中尾さんが打ってくれたんで気楽に打てましたね。思い切り打てました」2死から続いた川相は言った。左翼席に飛び込む4号ソロに沸き上がった“バンザイ・コール”が静まらないうちに、今度はクロウが中越えに5号を運んだ。

 今季初の1イニング3発。「よく出たねえ」藤田監督さえ目を丸くした本塁打攻勢で勝負は一気に決まった。

 「本当にこういう試合は疲れるよ」試合後、バスに向かう通路を歩きながら、藤田監督はタメ息まじりに試合を振り返った。

 桑田の思わぬ不調に指揮官が動いたのは6回だった。無死から村田が四球を選ぶとすかさず代走に井上を送った。と、同時に三塁側ベンチで中尾に「(裏の)守りから行くゾ」と声が飛んだ。

 実はこの日の宿舎で中尾は持病の腰痛を訴えた。そのためスタメンマスクは村田がかぶっていた。「村田だと妙に阪神が打ったからね。流れを変えたかった」故障の中尾をあえて起用した裏には勝負師としてのこんな読みがあった。

 その期待に応えた中尾。不調にあえぐ2番手・木田を好リードで助け、9回にはダメ押しのダメ押しと言える2打席連続の5号2ラン。

 「湿気の多いこの時期が一番つらい。でもやるからには思い切ってフルスイングするのがオレの持ち味だからね」故障を忘れた全力プレーにヒーローの顔は輝いた。

 今季2度目の全員、3年ぶり、もちろん今季最多の20安打と打ち勝っての41勝目だ。(鷲田 康)