体操男子で16年リオ五輪個人&団体金メダルの内村航平(31)=リンガーハット=が、延期された東京五輪で3連覇のかかる個人総合と、連覇を狙う団体への出場を断念したことが26日、分かった。種目別の鉄棒に絞って出場を目指す方針。18年冬から両肩痛に悩み、本調子を取り戻せずにいた。32歳で迎える五輪へ“絶対王者”は大きな決断を下した。

 内村が大きな決断をした。自国開催だからこそ、出場にこだわってきた東京五輪は、3連覇のかかる個人総合、そして「もちろん出たい」と話していた団体も、断念した。

 16年リオ五輪後、度重なるけがに悩まされてきた内村。19年4月の全日本選手権では両肩痛でまさかの予選落ちを喫し、同年の世界選手権代表から外れた。当時は、腕立て伏せもできないほどの激痛で、注射で肩に生理食塩水を入れて筋肉をほぐすなどの治療を繰り返していた。打った注射は「100本は超えたんじゃないかと先生に言われた」という。しかし、全6種目をこなすハードな個人総合は、ベテランの体への負担が大きく、特に肩への影響がある種目のつり輪などは十分に練習できない状態が続いていた。

 体操は男女とも現段階で代表は確定していない。新型コロナウイルスの影響で東京五輪が1年延期となったことで、国内での代表選考は白紙の状態になった。だが、例年通りの選考方法なら、五輪で個人総合と団体を戦うには、今後の代表選考大会で全6種目をこなして上位に入る必要があり、現在の状態では厳しいと判断した。

 予選落ちした19年4月の全日本後、内村は東京五輪を「夢物語」と表現し「想像を絶するくらいしんどい、苦しい戦いになるだろうなと読んでいたけど、それをはるかに越える高い壁をもらった」と語った。19年12月末、豪州合宿前の取材で五輪への思いは「体操に対する情熱を捨てないでやっていけば、道は開けてくる」と前向きで、帰国後に「6種目、ほとんど準備は終わっている」と話していた。19年は個人総合に向けた調整をしていたため、今年に入ってから種目を絞る決断をした可能性が高い。15年世界選手権で金メダルに輝いた鉄棒は「やっぱり自分の武器」と言い切る内村。選び抜いた1種目で、最後の勝負に出る。