◆JERAセ・リ−グ ヤクルト0―12巨人(28日・神宮)

 一番の勝負所で、サンチェスのギアが上がった。勝利投手の権利がかかった5回。2死から連打と四球で満塁のピンチを背負うと、5番・雄平に対して力を込めて腕を振った。打ってみろと言わんばかりにこの日最速の153キロ直球で内角をえぐり、詰まった二飛に打ち取った。

 ストライク先行で強打のヤクルト打線を封じた。対戦した26人のうち、2球で2ストライクと追い込んだのは10人。カットボールやスプリットの変化球もコーナーに投げ分け、凡打の山を築いた。前回登板した21日の阪神戦(東京D)では6回途中でマウンドを譲ったが、この日は6回を投げきり3安打無失点で3奪三振。チームを今季初のゼロ封勝ちに導き「チームで一丸となって勝てて、とてもうれしいです」と投打がかみ合ってつかんだ白星を喜んだ。

 オープン戦では3登板で0勝1敗、防御率10・57。6月の練習試合でも2試合7回2/3で10失点と不安が残った。日本球が「滑る」と苦戦。高めに抜けるボールが多く、痛打される場面が目立った。しかし、この日は直球、変化球とも低めやコーナーに制球されていた。個別調整期間で課題克服に努めてきた成果が、結果につながっているのだろう。まだ2試合だが許した失点は21日に近本に許したソロのみで、防御率は0・77。新天地で自身2連勝と最高のスタートを切った。

 原監督も「ストライクゾーンを外は遠くに、内は近くにと広く使えるようになってきた。メリハリも利いていたし、カットボールも非常に良くなってきている。前回よりもまた良かったと思います」と満足げだ。それでも「まだまだ現状に満足せず、もっと長いイニングを投げられるように上達していきたい」と貪欲な姿勢を示したサンチェス。自身が求める完成形は、まだ先にある。(河原崎 功治)