◆JERAセ・リ−グ ヤクルト0―12巨人(28日・神宮)

 岡本は振り抜いたまま、打球の行方を見つめ走り出した。左翼手の足はすぐに止まり、白球を見つめることしか出来なかった。高々と上がった飛球は左翼席中段へと着弾。「しっかり捉えることが出来ました」と2戦連発の4号を放った。ベンチに戻ると仲間たちに向かって笑顔で敬礼。30日に24歳の誕生日を迎える若大将が、自ら前祝いの一発でとどめを刺した。

 8点リードの6回1死。右腕・近藤の外角直球を仕留め、ソロアーチをかけた。絶好調男のバットは立ち上がりから全開だった。2回に中前適時打、4回には左前安打で8試合連続安打。さらには2試合連続、早くも今季3度目の猛打賞を記録した。打率は4割7分2厘へと上昇。得点圏に限れば6打数5安打で、驚異の8割3分3厘と完全に波に乗った。

 思い描く4番像に近づきつつある。「意味のある打点や殊勲打。チームを勝利に導く一打が打ちたい」。昨季、初めて開幕4番を担い1年間戦ってきたことで、より強く感じた。良くも悪くもチームの中心である4番は試合結果に結び付きやすい。自身の好不調に、勝敗が比例すると実感した。

 だからこそ打撃部門に妥協はない。常に完璧を追い求める。「率も残せて、ホームランも打てて、打点も、四球も選べる。打撃全部で上位にいることが、理想的」。それを体現しているのが、プライベートでも仲の良いオリックス・吉田正。「右(打ち)、左(打ち)は違いますけど、僕の中ではマサさんのバッティングが理想なんですよね」。チームは違えど、悩んだ際は助言を求めてきた先輩だ。

 ここぞでの一発や一打はもちろん。ボール球を見極めて四球で好機を広げることも4番の役割だと認識する。この日、3打席連続安打の後の9回の最終打席では一度もバットを振ることなく四球を選んだ。その後の石川の3ランにつながる貴重な出塁だった。理想の最強打者が現実味を帯びてきた。

 絶好調であっても岡本に慢心はない。「まだ始まったばかり。気は抜けない」。本人からすればまだ開幕9試合を終えただけ。それでも3年連続30発を含めた史上最年少3冠王へ期待せずにはいられない。(小林 圭太)