◆JERAセ・リ−グ ヤクルト0―12巨人(28日・神宮)

 チャンスで一気に畳み掛けた。坂本のバットが一閃(いっせん)する。「みんなでつないで、いい点の取り方ができましたね!」。増田大の押し出し四球、丸のタイムリーで3点を先制した2回。なおも2死一、三塁から、内角へ入ってきた寺島のカットボールをさばいた。打球は低いライナーで左前へ抜け、リードを広げた。

 攻撃の手は緩めない。5点リードの4回1死三塁では内角直球をはじき返し、三遊間を破る適時打。初回の得点機こそ三ゴロ併殺に倒れたが、得点圏打率は6割6分7厘となった。開幕直前に新型コロナ陽性判定が出て入院し、1軍に合流したのは開幕前日だったが、ブランクを感じさせないパフォーマンスだ。9試合で11安打と順調に積み重ね、2000安打へは残り105本。今年はレギュラーシーズンが120試合に短縮されるが、このままのペースなら、100試合を消化する前に大台に到達する。

 キャンプ中にインフルエンザから復帰した際も、少しでも早く遅れを取り戻そうと、休養日の静まり帰った室内練習場で秘密特訓を敢行した。あまりのハードメニューに、病み上がりの体調を心配したチームスタッフがストップをかけようとしたが、「ここで妥協したら終わり」と首を横に振り、倒れる寸前まで体を追い込んでいたという。アクシデントに見舞われても、いつも持ち前のストイックさではね返してきた。

 坂本がデビューしたての頃の巨人打線には、高橋前監督や阿部2軍監督、DeNAのラミレス監督や日本ハムの小笠原ヘッドコーチらスーパースターがズラリと並んでいた。「僕は僕で自分のことに集中できた」と感謝するように、偉大な先輩たちがそれぞれの持ち場で役割を果たし、若い坂本をプレッシャーから解放してくれたからこそ、経験を重ねる中でたくましさを身に付けられた。次世代を担うヤングGが台頭しつつある今、大黒柱が最前線にいないわけにはいかない。(尾形 圭亮)