◆米大リーグ ナショナルズ1―4ドジャース(23日・米ワシントンDC=ナショナルズパーク)

 ドジャース・大谷翔平投手(29)が23日(日本時間24日)のナショナルズ戦でワシントンDCに初見参し、9回に自己最速を更新する打球速度191キロ、今季最長となる飛距離137メートルの衝撃6号ソロを放ち、チームの勝利に貢献した。松井秀喜(元ヤンキースなど)を超える日本人単独トップのメジャー通算176号をマークしてから2戦連発。打率、安打など両リーグ“7冠”となり、無双状態に突入してきた。

 * * *

 誰も追わなかった。追えなかった。大谷の驚異の打球速度に外野手は一歩も動けない。2点リードの9回先頭。1ボールからM・バーンズの85・6マイル(約138キロ)のスプリットが浮いてきたところを見逃さなかった。今季2度目の2戦連発となる6号ソロ。自己、球団、そして今季のメジャーと“3つの最速”を更新する打球速度118・7マイル(約191キロ)だった。さらに飛距離450フィート(約137メートル)は今季の自己最長。約3・5秒で右中間2階席に到達した驚がくの一発に、現地実況は思わず「ロケット」と表現した。百戦錬磨の同僚たちも驚きを通り越し、笑うしかなかった。

 ロバーツ監督「彼は『少し詰まった』と言ってたけどね(笑い)。まるで稲妻のようだった。ライナーで2階席まで届くんだから。スタントンやジャッジ(ともにヤンキース)だったり、あんな打球を打てる選手は何人かしかいないだろう」

 アウトマン「本当にばかげてるよ。巡航ミサイルのようだった(笑い)」

 ロハス「アメージング(笑い)。信じられない。史上最高の選手と一緒にプレーできることはとても光栄なことだと感じている」

 これまで自己最速の本塁打はエンゼルス時代の22年6月25日、マリナーズ戦で16号ソロを放った際に計測した118・0マイル(約189・9キロ)だったが、わずかに上回った。さらにMLB公式サイトのサラ・ラングス記者によると、「2015年のスタットキャスト導入後、球団史上最速のホームラン」。スタットキャストによると、この試合前までの最速打球はスタントン(ヤンキース)、タティス(パドレス)の計測した116・7マイル(約187・8キロ)だったが、「ドジャース インサイダー」は「パドレスのタティスが記録した今季最速の打球よりも2マイル速かった」とメジャー今季最速更新と認定。まさに記録ずくめの一発だった。

 初見参となったアメリカの首都・ワシントンDCでも主役を演じた。ナショナルズ戦は9試合目で初アーチ。これで打ったのは26球団目となり、日本人選手では初の“30球団制覇”まで残り4球団となった。

 本塁打はリーグトップとまだ3本差だが、25試合で打率3割6分4厘、36安打、11二塁打、67塁打、18長打、長打率6割7分7厘、OPS1・107と両リーグ“7冠”。8試合連続安打、21試合連続出塁も継続している。「個人的にはもっともっとたくさん打つつもりなので」と話していたが、一体どれほど打つのだろうか―。タイトルを総なめしそうな勢いだ。(中村 晃大)