◆高校野球◇春季岩手県大会▽2回戦 花巻東6―0一関二(20日、きたぎんボールパーク)

 花巻東・期待の1年生で、背番号「17」を背負う古城大翔(だいと)内野手が一関二との2回戦に「7番・三塁」で先発出場。自身にとっては県大会デビュー戦にもなったが、2打数無安打に終わった。

 ただスタメンで起用した佐々木洋監督は、その実力を高く評価している。地区大会では2試合とも「4番・三塁」で先発出場。指揮官は「花巻東で1年生が地区大会から出たといったら雄星、大谷、麟太郎。そのぐらいですかね。(現巨人の)西舘(勇陽)も、1年の春はメンバーに入ってない。地区大会から入れるのはよほどです」と明かした。

 菊池雄星(現ブルージェイズ)、大谷翔平(現ドジャース)、そしてスタンフォード大に進学する佐々木麟太郎らが背負った背番号「17」を与えられたのも、期待値の高さを証明している。

 都筑中央ボーイズ(神奈川)時代には通算20本塁打をマークした。181センチ、91キロの恵まれた体格で、スイングスピードも速い。佐々木監督は「去年の飛ぶバットなら、もう5、6本はホームランを打ってますね。花巻東のグラウンドは両翼が98メートルで、逆風もある。普通の球場なら、入っているのが何本もある」と目を細めた。

 評価しているのは長打力だけではない。「グラブさばきはいいし、肩は強いです」。一関二戦は雨が降る中で行われたが、2度の守備機会をそつなくこなした。2回無死一塁では、正面のゴロに反応。人工芝と、ぬれた土の境目でバウンドが変化したが、素早く捕球し二塁へ送球して三ゴロ併殺。指揮官は「落ち着いてましたね」と語った。

 大翔の父は、元巨人の古城茂幸氏(48)。現在は巨人で三軍打撃コーチを務める同氏と佐々木監督は、国士舘大野球部の同学年という仲だ。スポーツ報知の単独取材に応じた佐々木監督は「最初に優しくしてくれたのが、古城の父親でした。すごくいい人間でしたね。ホームシックになりかけてる時に、よく助けてもらった。人が良くてね。よく話しかけてくれた。いい選手なのに、高飛車になることもない。偉そうにしないんですよ」と当時を懐かしんだ。

 2人の親交は、大学卒業後もずっと続いた。実は大翔には、関東の強豪高などからも誘いがあったという。それでも本人の思いもあって、花巻東への進学を決めた。「信頼して預けてくれた。私も、うれしかったです。お父さんも性格がいいけど、息子も性格がいい。父親がプロ野球選手だと、勘違いをしてしまう選手もいると思いますけど、そういうことも全くない」と“父譲り”の優しい性格も評価する。

 右投右打。期待の逸材は「先輩たちと『岩手から日本一』という目標を達成したい。1年生ですけど、力になれるように」と言葉に力を込めた。チームは春8強を決め、まずは夏のシード権を獲得。2年連続12度目の夏の甲子園出場を目指すチームを、期待の一年生が活性化させる。