石川県内の食品スーパーが、徒歩圏内など商圏を絞った小型店の展開を進めている。「カジマート」を経営する鍛治商店(津幡町)は7月ごろ、金沢市長坂2丁目に売り場面積がコンビニエンスストア2軒分の小規模な店を開業する。マルエー(白山市)も小型店を増やす。比較的高齢化が進み、大型の競合店が少ない地域を狙い、小商圏で日常的に足を運んでもらう店づくりで特色を打ち出す。 鍛治商店が新店を出すのは金沢市長坂2丁目にある住宅跡地の約2千平方メートル。2階建てで1階を駐車場、2階を売り場とする。 商品の保管場所を除く売り場面積は200坪(約660平方メートル)に満たない。経済産業省の2014年の統計では全国の「専門スーパー」の売り場面積が平均1310平方メートルで、長坂の店は、その半分ほどだ。 同社は人口5万〜10万人に1店を目安に出店しており、長坂も市東部・南部を集客エリアに想定するが、同社幹部は「主な顧客としては近隣の年配者を見込んでいる」と話す。 小型店はイオンモールなど、広域集客をうたう大型商業施設の間隙(かんげき)を縫うように店を構える。「マルエーmini」は金沢駅前の此花町、市中心部の香林坊2丁目に加え、平和町3丁目、金石西3丁目、白山市美川末広町など大型施設の「空白地」に出店してきた。 関係者によると、大型店は大規模な宅地開発に伴って開設されるケースがみられ、新規の世帯の買い物需要を取り込んでいる。その一方で、小型店の出店が続く旧来の住宅地は広いスペースが少ないが、周辺住民の需要をつかみ来店頻度を高められれば、店の規模が小さくても利益が出せるという。 県内のスーパー経営者は小型店の進出に関し「大きな賭けに出るより、商圏の情報を把握できる小さい範囲で、しっかりと稼ぎたい考えだろう」と分析する。 マルエーの担当者は、昨年10月に開業したmini金石店について「自転車で来店する近距離の利用者が予想以上に多い。地域の冷蔵庫代わりのような身近な店にしたい」と意気込む。店頭の品数は少ないものの、店ごとに商品の品ぞろえを変え、今後も小型店の開発を進める考えという。 一方、石川、富山でスーパーの中型、大型店を展開する大阪屋ショップ(富山市)の担当者は小型店の出店について「土地が限られ、大型店の出店が難しい石川県内で試行錯誤する中での戦略ではないか」とみている。自社については「品ぞろえが限られる小型店を出す予定は現時点でない」と様子見の構えだ。 大阪屋ショップは、来店客が料理時間などを短くする「時短」の需要に応えたいという。昨年11月には、旗艦店の富山市呉羽店を改装し、総菜や鮮魚コーナーの「半調理品」の品数を増やしたという。