林野庁石川森林管理署は新年度、白山市の手取川上流で2015年に発生した斜面崩落現場で、これまで緑化に取り組んできた上部域に加え、新たに下部域でも対策に乗り出す。発生から5年、上部の植生が年々回復していることから、森林の完全復活に向けて下部にも手を広げる。6月以降にヘリコプターで有機質の堆肥を散布し、緑化に向けた土壌作りを進める方針だ。 14日、白山市鶴来総合文化会館クレインで開かれた手取川等濁水関係連絡会で、国、石川県、流域市町の担当者に新年度の方針が報告された。 石川森林管理署は15年から2年間、石を詰めた袋を散布するなど、土砂流出を防止するための応急対策を実施。17年から上部域で、崩落現場から西へ約5キロ離れた丸石谷(まるいしだに)で採取したハンノキ、イタドリなどの種子やヤナギの枝を上空から散布し、植生を進めている。 同署や国土交通省金沢河川国道事務所によると、昨年9月の現地調査では上部域でヨモギやフキなどが育つ様子が確認され、植生地の範囲は拡大している。川の濁りも普段通りに戻っているという。 一方、下部域は急傾斜地が多く、植物が定着しにくいのが課題となっていた。レーザー測量の結果、下部の一部で土砂移動の落ち着いたエリアが見つかったことから、その場所を中心に対策を進めることにした。中島正彦署長は「少しずつだが植生は回復している。今後も関係機関と連携して取り組む」と話した。 斜面崩落は15年春、手取川支流の中ノ川上流域に位置する「仙人谷」と呼ばれる場所の約15ヘクタールで発生。土砂が雪解け水とともに流れ出し、手取川や犀川など広範囲に濁水が確認され、漁業にも影響を与えた。