小松市の陶芸工房で、九谷焼で食品サンプルを作る試みが進んでいる。同市龍助町の「中出精肉店」が、県産業創出支援機構(ISICO)のブランド認定を受けた店の名物「炭火焼豚」を地元の特産で再現したいと企画した。依頼を受けた陶芸家の田畑奈央人さん(50)=同市若杉町3丁目=は本物そっくりのサンプルを目指し、制作活動に没頭している。 サンプル作りは、中出精肉店の3代目中出暁史さん(36)が地元ならではの伝統工芸を生かして看板商品をPRしたいと田畑さんに相談したことから始まった。店の焼豚は能登豚を市産のしょうゆで味付けしたのが特徴で、2016年にISICOの石川ブランド製品に認定された。 田畑さんは焼豚の写真を参考に2月末から造形作業に入った。素焼き、本焼き、絵付けなどを経て完成させる。田畑さんによると、肉の色合いを絵付けでリアルに表現するのが最も難しいという。 もともと、「ゴッドファーザー」や「グレムリン」などの洋画を見て特殊メークアーティストへの憧れを持っていた田畑さんは、独学でメーク技術を学び、約10年前に陶芸家として独立してからは九谷焼への応用を模索してきた。 安倍晋三首相やトランプ米大統領といった著名人の置物のほか、好きな映画のキャラクター、魚、は虫類、鳥など幅広い題材の像を手掛ける中で、ビニールの上から針でしわを付けるなどの手法を試し、完成度を高めてきた。 食品サンプルの制作は初めてだが、一風変わった取り組みで九谷焼の可能性を広げたいと意気込む。田畑さんは「見た人が思わず食べたくなるような、本物と見間違える焼豚に仕上げたい」と話した。