中小型液晶大手ジャパンディスプレイ(JDI)の菊岡稔社長は25日、都内で開いた臨時株主総会後の会見で、白山工場(白山市)の一部設備を米アップルに先行売却することを検討していると明らかにした。白山工場全体を米アップル、シャープに売却する交渉は今月末の決着を目指すが、新型コロナウイルスの影響で「ずれ込む可能性がある」としており、先行きはいまだ不透明だ。 「交渉が長引く場合は(設備売却を)前倒ししてでもしたい。既に顧客とは基本合意しており、内容を伝えられる日は近い」 菊岡氏は白山工場の設備売却について、2億ドル(約220億円)でおおむね合意していると明かした。臨時株主総会で決議されたいちごアセットマネジメントからの金融支援についても、設備売却による資金調達が前提条件になっているとし、近く売却の概要を公表する意向をみせた。 一方、工場全体の売却に関しては「真摯(しんし)な交渉を続けている」としながらも、いまだ合意には至っていないと説明した。延期の要因は、新型コロナウイルスの影響による関係先の事務手続きの遅れという。 設備の先行売却による資金調達が白山工場全体の行方にどう影響するか。 業界関係者では「アップルの手付け金ではないか」との観測がある。設備の一部だけを取得したところで、アップル側で即座に活用のあてがあるわけではない。工場全体を取得する過程の第一段階との見立てだ。 ただ、アップルが共同取得を要請しているシャープも含めた交渉は、長期化の可能性が浮上している。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界的な景気減速の懸念から、アップルの主力機種「iPhone(アイフォーン)」の販売は落ち込みが危惧される。同社に液晶パネルを供給するシャープとすれば、需要の後退局面で巨額の投資リスクを負う工場取得を急ぐ必要性は薄いからだ。 シャープの広報担当者は25日、白山工場の取得について「さまざまな観点から慎重に検討を進めていることに変わりはない」と述べるにとどめた。