新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の全面解除から1カ月、東京では多くの大学が依然として再開せず、富山県出身の学生はオンライン授業を続けている。都内の学生寮「石川富山明倫学館」では、4月初めに入学の手続きをして以降、学内に一度も足を踏み入れていない1年生もおり、憧れの東京でのキャンパスライフを待ちわびる。 富山市出身で東大1年の村上世成さんは明倫学館で1日2〜3時間、オンライン授業を受け、家庭教師のアルバイトに励む。入学手続きをしてからは大学には行っていない。 4月から始めたバイトはコロナの影響で中断し、今月上旬から再開した。入学してから実家に戻らず、寮で巣ごもりの生活を送る。オンライン授業はテストがない分、課題が多く「思っていた以上に大変」と悩ましげ。「高校の時は受験勉強ばかりだった。東京で少しは遊びたい気持ちもある」と率直に語る。 金沢市出身で青山学院大1年の寮生の坂野勁太さんも、4月に学生証を取りにいって以降、学内に入っていない。5月の1カ月間は実家に帰った。 最近はバイトを探し始めたが、東京は「3密」の場所が多く「感染するのがちょっと怖い」と打ち明ける。子どもの頃からサッカーで走り回り、高校時代はカナダで留学した。今はランニングなどで気分転換しており「そろそろ大学が始まってほしい」と願った。 「家にいるのは全然嫌じゃない」と語るのは石川県中能登町出身で東大1年の初見翔生さん。オンライン授業と塾講師のバイト以外は寮でスマートフォンやゲームをしている。それでも、大学に行けず、最近は「実家が恋しくなってきた」と寂しさも感じている。楽しみに上京しただけに残念に思う学生は多いようだ。 一方、大学の中には立ち入り禁止を解除し、学内活動を認める動きも出てきた。明倫学館の寮生は120人。緊急事態宣言中はピークで半分近くの学生が実家に帰っていたが、今は7割近くが寮にいる。 高岡市出身で東大4年の梁瀬大海さんは今月中旬から、学内で卒業研究の実験を始めた。久しぶりに大学で活動し「夏休み明けのような感じ」と笑う。 就職活動中だった富山市出身で東大4年の岩﨑誠倫さんは、インターネットサービスの大手IT企業から内定を受けた。何度もオンラインの面接に臨み「相手の反応が分かりにくいこともあった」と振り返る。 白山市出身で慶大4年の中野隆平さんは大学院に進むことが決まり、安堵(あんど)の表情を浮かべる。もっとも、中野さんはコロナの影響で食品スーパーでのバイトを辞めた。「外に出なくなり、お金を使わなくなった」という。 明倫学館では感染防止対策を徹底し、寮生に人気のマージャンも禁止のまま。東京はまだまだ感染者が確認されており、学生生活が「日常」に戻るには、しばらく時間がかかりそうだ。