穴水町甲(かぶと)で農園を営む島﨑光典さん(55)が南米アンデス原産の野菜「ヤーコン」の本格栽培に乗りだした。8年前に新規就農し、奥能登の里山に見合った農作物を模索する中、イノシシの食害が少ないとされるヤーコンに目をつけた。栄養価の高さから人気も高まっており、特産化も視野に入れている。 ヤーコンは外観がサツマイモに似た南米産の根菜類。オリゴ糖や食物繊維、ポリフェノールを多く含んでいる。県内では、野々市市や津幡町などで栽培されているが、島﨑さんによると「奥能登で扱っている農家はほとんど聞いたことがない」という。 島﨑さんは高校卒業後に上京、会社勤めや自衛隊を経て、2011年に穴水に戻った。1年間の研修を経て、12年に耕作放棄地を借りて就農し、青果物の有機栽培に取り組んだ。 しかし、イノシシの捕獲が町内で17年度の71頭から19年度には489頭に上り、これに伴って農作物被害も急増。「顔の見える能登の食材」の出荷先である、金沢市中央卸売市場の関係者らの薦めもあって、ヤーコン栽培に目を付けた。18年に20株、19年に100株を試験栽培し、乾燥などに注意を払いながら生育状況を見守った。 この間、野々市市のヤーコンサミットに参加したり、日本ヤーコン協会員に登録したりして栽培への知識を深めた。ヤーコンの持つ独特の匂いからか、かじられた跡はあるが、イノシシの被害が少ないことも確認した。 3年目となる今年は、500株を栽培する。現在、苗を育て畑に移植しており、11月下旬からの収穫を目指す。島﨑さんは「なんとか出荷にこぎつけたい。特産化を進め、耕作放棄地の利活用にもつなげていきたい」と話した。